新卒リファラル採用の鍵は、選考時からの関係づくり ――大日本住友製薬が取り組む理系専門職採用とは

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大日本住友製薬株式会社
人事部 人事グループ 主任部員 板倉 朋宏氏(左)
人事部 人事グループ 深津 佳代氏(右)
従業員数: 連結 6,488名 (2019年12月31日現在)
事業概要:

「医療用医薬品、食品素材・食品添加物、動物用医薬品等の製造および販売

今回は、国内大手製薬会社で「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」という企業理念を掲げ、革新的な新薬を創出していく大日本住友製薬様の事例をご紹介します。

“社員の魅力”という強みを活かして、研究・開発職の新卒採用においてリファラル採用を導入。リファラル限定説明会に50人以上も集まったといいます。その秘訣は、選考時から積み重ねてきた人事と内定者の信頼関係にあるそうです。

人事の板倉様と深津様に、理系新卒採用においてリファラル採用に取り組む理由とその工夫をお伺いしました。

入社の決め手は“社員の魅力”が60%!自社の強みを活かしたリファラル採用を

まず、製薬業界全体の採用状況を教えてください。

板倉氏:
製薬業界としては、年々少しずつエントリー数が減っている印象を受けています。

特に研究・開発職のエントリー数減の背景として考えられるのは、成功体験を得るために時間がかかる業種だということ。研究・開発したものが製品となるのが3万分の1というシビアな確率であり、一つの薬の開発に10年以上かかるため粘り強く研究開発に取り組む必要があります。しかしその分、新薬を創出できたときの社会的意義もロマンも大きい業界、業種であるということは自信を持って伝えられます。

また、コンサルなどの他業界でも理系学生が求められ、ますます人材の獲得競争が激しくなっています。売り手市場のなか、地頭のよい理系学生をビジネス職として採用する企業も増え、学生側もビジネスキャリアを求める人が増えているのではないでしょうか。

そんな中、貴社の新卒採用の状況と課題を教えてください。

板倉氏:
当社では、研究・開発職とMR職を中心に毎年おおよそ50名新卒採用しています。

研究・開発職の採用課題としては2つあります。1つ目は、どの会社からも必要とされるような優秀な方を採用したいということ。当社の魅力をちゃんと発信して、最終的に選んでもらわなければという課題があります。

2つ目は、優秀な人材を見逃しているかもしれないということ。短い面接だけではどのような方なのか見極め切れない可能性があります。その方の良いところをしっかりみて採用していきたいと思っています。

深津氏:
MR職に関しては文系の方もいらっしゃいますが、上記に加えて学生の専攻内容に関係性の低い製薬業界を志望する方が少ないという課題があります。そのため、インターンの開催などを通じて業界の認知度を向上させる母集団形成にも力を入れています。

今回リファラル採用を取り組むことにした背景は何でしょうか?

板倉氏:
内定者へのアンケート結果から、当社にとってリファラル採用が有効ではないかと考えました。
まず、「就職活動について相談した人」として一番多いのは「知人・友人」だという結果が出ています。当社の内定者では80%以上の人が知人・友人に相談しているため、まずは当社を知ってもらうために知人・友人の力を借りることがよいと思いました。

次に、「入社の決め手」については60.7%と「社員の魅力」が最も大きいことが特徴です(他社平均は43.2%)。入社の決め手が社員の魅力だと明確に数値としても現れたので、社員の魅力を最大限活かせたらと思い社員や内定者を巻き込むことにしました。

また、リファラル採用では学生との接点が多くなり話す機会が増えますし、通常の選考よりも前に自然な会話から学生のホンネを伺えるのはすごくいいなと思います。早い段階から接してその人のことを知りつつ、社員の魅力を通じて志望度をあげられたら、と思っています。

求める人材が分かりやすい研究・開発職で、フラットな選考を

これまで、リファラル採用の取り組みはされていなかったのでしょうか?

深津氏:
2年ほど前に、MR 職の内定者からの紹介者限定のインターンシップを実施しました。
ただMR 職は公募もたくさん出していた中、紹介したいと思う方はすでにご自分で応募されていたり、声をかける基準が分からなかったりと、内定者も紹介に苦労されている印象でした。

人事部としても、紹介する意義が正しく伝えられていなかったことや、内定者にとって手間がかかる状態だったことなど反省点が多くありました。

2年ぶりに取り組むにあたり、どのようなことに気を付けましたか?

板倉氏:
まずは研究・開発職で取り組んでみることにしました。
MR職の内定者は他の学生を紹介するときに、どういう方を誘っていいか分からないことがハードルになると思います。人柄や地頭のよさ、体育会の活躍、バイトを頑張っている、など目線がさまざまになってしまうことが紹介の難しさに繋がっているのではないかと。

一方、研究・開発職ではおそらく研究室の後輩や先輩を紹介するだろうと思っていました。
研究室は四六時中一緒にいるのでお互いよく分かりあっていて、優秀な方は他の多くの方から見ても優秀ですし、求める人材の目線もあまりずれないだろうなと思ったんです。

今回はまず研究・開発職で取り組むことにしたのですね。もともと理系採用では、制度がないときにも後輩の紹介はあったんでしょうか?

板倉氏:
個人的に話して紹介してくれることもありましたが、本当に小規模ですね。
会社によっては、研究室へのリクルーター派遣や教授推薦を活用していると思いますが、当社はそういう決まったルートではなく、違う形でやってみたいなと思っていました。

そのため、これまで同様リファラル採用で紹介してもらった場合でも、他の学生と同様にフラットな環境で選考していくことに気を付けています。
こういう姿勢はなかなか伝わりにくいですが、いずれ学生さんたちにも当社のフラットな選考が口コミで広まっていくと思うので、地道にやり続けることが大事かなと思っています。

MyReferを選んだ理由を教えてください。

板倉氏:
MyReferを選んだ理由は3つあります。

手間が少ない

まず一つは、手間が少ないことです。
友人と直接話して人事とやり取りして推薦するよりも、スマホを使ってSNSで紹介して推薦するのはすごくシンプルで分かりやすいと思います。学生だからこそSNSとの相性もよく、簡単に使ってもらえると思いました。

人事が介入せずに紹介できる

また、学生さんそれぞれがもっているLINEやSNSのネットワークを我々が把握する必要のないことがいいなと思っています。学生さんが個別にMyReferを使って紹介してくれて、興味をもった方からだけ当社に応募がくるのは画期的ですよね。我々が介入する必要なく友人同士でやり取りしていただけるので、コンプライアンス上もいいと思っています。

自社のおすすめコメント機能

もう一つ、「おすすめコメント機能」がいいと思っています。
内定者が当社のことを紹介するときに、具体的にどう魅力付けしたのかが分かるとともに、そのコメントが他の人も見られるようになっています。
どう紹介すればいいか分からない内定者にとっては、「おすすめコメント」が共有されると便利だろうなと思います。
また、人事としても内定者が話している内容から当社の魅力を再発見できます。実際、みんなしっかりコメントを書いてくれていて、当社の事業や社風のことをよく理解してくれていて、嬉しく感じました。

内定式でMyReferを案内。選考時からの信頼関係が何よりも大事


※写真はリファラル採用に協力してくれた2020卒内定者の皆さん

MyReferを使ってリファラル採用を始めるにあたり、どのように展開しましたか?

板倉氏:
内定式にMyReferの担当者に参加いただき、内定者全員に説明してもらいました。
リファラル採用という言葉自体も知らない人も多いので、しっかり説明して理解してもらった上で協力していただけてよかったです。

内定者全員でリファラル採用をする背景として、どのような想いを伝えましたか?

板倉氏:
人をしっかり見ていきたいという想いは伝えました。我々だけでは十分見られないところを、近くで見ている内定者の人から当社にマッチしそうな人を紹介してほしいと正直に伝えています。

あとは、できるだけ内定者の主体性に任せました
お伝えした通り、当社の内定者は「社員の魅力」に惹かれて当社に決めてくれた方たちです。その方から見て、一緒に働きたいと思う人を紹介してくれれば、自然と当社にマッチした方が集まってくれると思っています。
人事目線は気にせず、「あなたがいいと思う人を紹介してほしい」と伝えました。

内定者からの反応はどうでしたか?

板倉氏:
内定者からは「もう会社の一員として採用の協力をするのか!」という驚きの声もありました。「本当に自分がいいと思う人を連れて来たらいいんですか?」という不安の声もありましたが、それでも理解して協力してくれたのでよかったです。

内定者が協力するのには、どのような理由があるのでしょうか?

板倉氏:
これは私の考えですが、内定が決まってから、いきなり「採用に協力してくれ」と言いだしても難しいと思うんです。
これまでの選考で誠意をもってしっかり接してきていること、面接でも少人数で時間をかけて丁寧にお話を伺っていること、個人的ですが出張にいったときに内定者と飲んだりしてコミュニケーションを取ってきたこと、など、常に対等な関係で信頼関係を作ってきたことが、協力してくれた一番の理由だと思っています。

たしかに、いきなり内定式で紹介してと言われても伝わらないですよね。人事と内定者の信頼関係を築けている証ですね。

板倉氏:
そうですね。やり方や伝え方を間違えると、よく思われない可能性もあるので、そこは少し慎重に考えましたね。
それまでの関係構築が大事ですし、あくまでも自主的に協力してもらうようにしました。
選考中は誠実に正直に対応してきたので、それを実感している内定者は、当社の選考に後輩を紹介しやすいんじゃないかなと思います。

内定者リファラルで50名のエントリー。よりフラットで透明性のある採用を

内定者紹介限定のイベントはどうでしたか?

関西と関東で内定者紹介限定のイベントを開催して、その案内を内定者に協力してもらいました。結果として、40名以上の内定者が紹介の協力をしてくれて、50名以上の応募がありました。
初めての試みなので心配もありましたが、想定をはるかに超えて集まり、本当にありがたかったです。

どんな人が来ていたのですか?

板倉氏:
来てくださった方々は、また想像以上に素晴らしい方が多かったです。
このまま選考に進んでほしいと思う良いご縁ができました。社員座談会や人事の質問会をしたんですが、どちらもすごく積極的にみんな聞いてくれました。

内定者からの紹介について一つエピソードを話すと、同じ大学の違う研究室の初めて話す先輩に声をかけたツワモノがいました(笑)。違う研究室に優秀な博士人材がいると噂を聞いたらしく、その人に直接連絡して誘ってくれたとのことです。しかもその博士の先輩も当社に興味があると言ってイベントに参加してくれました。
内定者のすごい行動力に感心したとともに、自発的に考えて協力してくれたのがとても嬉しかったです。

優秀な人と一緒に働きたいという想いがあるのでしょうか?

板倉氏:
その想いはあると思います。私も研究職で入社したので同じ考えなのですが、自分が好きでいいと思って入った会社だったら、優秀な先輩や後輩を紹介したくなるのは普通のことかなと思っています。また研究・開発職ではチームで仕事をすることも多いので、優秀な方が周りにいることで互いに切磋琢磨できることを、研究室で実感しているんでしょうね。素晴らしいことだと思います。

紹介のパターンはいろいろあって、自分がいいと思った人をピンポイントで紹介してくれる人もいれば、研究室の後輩1人だけ紹介するのは不公平だからと全員に送る人もいましたね。やはり内定者は簡単にMyReferを使いこなして手軽に紹介してくれました。

紹介理由も「この人を特に推薦します!」という人もいれば、「後輩育成の観点でこういう場に出ていろいろ知ってほしいから」という人もいました。心優しい先輩ですよね(笑)。
みんな自信をもって採用した内定者の方々なので、信頼して任せた結果、それぞれのやり方で私の想像を超えて協力してくれたので本当によかったです。

素晴らしいですね。今後はどのように取り組まれていくのでしょうか?

深津氏:
MRは公募でのインターンを10回以上開催しているので、それとは別でリファラル採用をどうやって活用していくかを検討中です。MRは全国勤務となる仕事ですが、働き方改革で地方の人材を地方で採用する流れが出て来ているので、地方のイベントで活用することもよいかなと思っています。

今回内定者限定イベントは開いていないですが、MyReferを通じて内定者にインターン日程のお知らせなどを伝えられているので、今後も内定者とのコミュニケーションに活用していきます。

板倉氏:
研究・開発職では、選考前イベントの求人は終わったので次は本選考に向けて取り組んでいきます。

2020年度は新型コロナウイルスの影響で、学内セミナーの中止・延期が相次いでいます。新薬メーカーの当社は知名度が高くはないので、正直逆境ではありますが、当社を知っていただくための取組みとしてリファラル採用を活用していく予定です。
私に代わって、内定者、若手社員が当社の魅力を正しく、誠実に伝えてくれると期待しています。
やはりフラットな選考をしたい思いがあるので、リファラル採用の方だけ特別なルートにのせることはしませんが、これまでどおり丁寧に選考を進めていきたいと思います。

リファラル採用を今後さらに積極的に活用し、引き続き当社の「社員の魅力」に惹かれて入社する方を増やしたいです。

編集後記

今回は、製薬業界大手の大日本住友製薬様の事例をご紹介しました。

研究室のつながりが深い理系の新卒採用では、内定者も紹介しやすく、限定イベントには多くの参加者が集まりました。内定者が自発的に協力してくれるのは、選考時からの丁寧なコミュニケーションと関係性を築いてきたため。

新卒採用でリファラル採用を取り入れたい企業様、理系の学生とつながりたい企業様、ぜひMyReferにお声がけください。