
今回は、現在大きな変革期を迎えている自動車業界でパワートレインや走行制御など車両システムの設計を行っているデンソーテクノ株式会社のリファラル採用事例をご紹介させて頂きます。
2018年、現在機械設計領域の技術者採用は困難を迎えています。従来の人材エージェントや求人媒体だけでは採用計画の達成を目指すことが難しい市況感の中で、デンソーテクノ様が取り組んだリファラル採用の周知・奨励を図った背景や採用活動を通じて明らかになった、社内での変化について迫ります。

デンソーテクノ株式会社 | |
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従業員数: | 2,901名(2020年4月現在) |
事業概要: |
世界最大級の自動車部品メーカー・デンソーグループの中で、主に顧客の量産開発・設計工程において、仕様検討から量産対応までのプロセスを担当。また、技術分野は、ソフトウェア設計・電子回路設計・機器設計と幅広くカバー。 |
人材開発部 採用室:林 和広 氏 |
その他企業様の導入事例をまとめています!
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競争の激しくなる採用市況で新しい一手が必要
まず、デンソーテクノ様がリファラル採用を推進するに至った背景をお聞かせ頂けますか?
林氏:
現在、機械設計のエンジニアの採用市況は非常に難易度が上がっています。弊社としては人材エージェントからの紹介を中心に採用活動を行っていたのですが、紹介を頂いても採用に至らないケースが多くなってきました。
具体的には、書類選考における技術スキル面はクリアしていても、実際に面接をしてみるとコミュニケーション面から弊社にマッチしないというケースです。また、選考を通過して内定に至ったとしても、優秀な方は他社との競争にもなるので最終的に内定辞退となってしまうケースも多くありました。
このような現状で、このまま人材エージェントからの紹介中心の採用手法を続けていくだけでは、競争が激化する採用市場で年間60名という採用計画を実現することは難しいと考え、新たな採用手法を模索していく必要があると感じていました。
特に改善が必要なのは、候補者の方とのタッチポイントであると考えていました。
弊社ではエンジニアがチームで連携を取りながら業務に取り組むので、チームメンバーの一人として動くチームワーク重視の考え方や、自分の成長をチームの成長だと感じることができる思考性が大切になります。
しかし、人材エージェントからの紹介だと、この点を十分に伝えることが出来ない状態ですぐに選考に入ってしまうので、応募時点でミスマッチがあって不採用にさせて頂いたり、内定出しをしても十分に弊社の働き方の魅力を伝えきれておらずに内定辞退になってしまったりしていました。
そんな中でリファラル採用という手法を知り、興味を持つようになりました。
弊社の業務や社風を理解した社員が友人・知人を紹介するという手法で採用を進めれば、候補者の方とのタッチポイントから改善ができるので、チームで働くことを重視する弊社の考えに共感してくださる方と出会えるのではないかという期待がありました。
新たな取り組みには慎重派が多い、だからこそMyReferの活用に挑戦

リファラル採用を開始する上で最初からMyReferを導入したのはなぜですか?
林氏:
リファラル採用に興味を持ち、弊社でも取り組んでみようと考えたのですが、リファラル採用の制度を整備してアナログで進めても上手く進まないのではないかという所感がありました。理由としては大きく分けて2つありました。
1つは、社員に手間がかかると紹介をしてもらえないのではないかという点です。アナログで制度設計をしてリファラル採用を促進しようと考えてみたものの、そもそも友人・知人を紹介する上で募集中の求人情報の確認方法や紹介後の手続きが複雑になってしまい、社員が手間に感じてしまうだろうという所感がありました。社員に負担が大きいやり方では上手くいくイメージが無かったので、ここをどうにかする必要性があると考えました。
もう1つは、全社でリファラル採用を展開した際に一定数の社員からはネガティブな声も出るのではないかという点です。社内の文化として新たな取り組みには慎重に考える面があり「どうして社員がこういった活動に協力しなければならないのか?」という声も出る可能性が高いと思っていたので、協力的な社員とそうではない社員を見分けて、最初は協力的な社員に積極的に依頼をして、リファラル採用の成功事例を創出して、その後に社内へ拡げていく流れをつくりたいと思っていました。
この2つの懸念を払拭するためにはどうすればよいかを模索していた中でMyReferというサービスがあることを知りました。
MyReferを使えば求人情報をリアルタイムで共有できるし、ワンクリックで紹介ができるので、紹介をする上での社員の負担を軽減できると感じました。また、MyReferであれば社員の協力度合いが数値データで可視化できるので、慎重派でなかなか動かない層と協力的な層を見分けて施策を打てるというイメージもできました。なので、MyReferを導入してリファラル採用を開始することを決めました。
社員からのネガティブな声をチャンスと捉える勇気も大切
実際にMyReferをどのようにご活用してリファラル採用を促進していますか?
林氏:
まず、社員にリファラル採用という制度を開始したことを確実に認知してもらうために、全社員への一斉メールの配信とオリジナルポスターの貼り出しを行いました。
ここで特に気を使ったのはオリジナルポスターの制作です。MyReferを使えば簡単に紹介ができるということを分かりやすく伝えることと、リファラル採用という言葉を浸透させるためにあえて友人紹介ではなくリファラル採用という言葉を使うことを意識して、オリジナルポスターを作成しました。
また、社内からネガティブな声が挙がってきた際には、この声をチャンスだと思うようにしていました。何故ならば、そうした声を挙げてくれる方は、リファラル採用について興味があるということだと思います。興味がなければそもそも反応もないはずですから。そこで、声を挙げてくださった社員には、弊社の採用状況や今後の採用に関する説明を個別で丁寧に行うことをさせて頂きました。ちゃんと説明を行えば納得をしてくださり、むしろ賛同者になってくださる方も多くいました。
リファラル採用の制度開始の展開を行った後は、MyReferに参加して動いてくれている協力的な社員に対して積極的な協力依頼を行うようにし、成功事例を生み出すことに注力しました。
実際に採用成功の事例が出た後は、新たにオリジナルポスターを作成して、「リファラル採用謝礼金初支給!」と大々的にアピールして協力してくれる社員を増やす活動を行いました。
結果的に、450名以上の社員がリファラル採用に協力してくれており、予想以上に協力を得られていることに驚いています。
信頼できる社員の紹介だからこそ、オンボーディングが促進
ともにはたらく仲間を育てたいという文化醸成

リファラル採用に取り組んでみてどのような成果が出ていますか?
林氏:
リファラル採用が予想以上にポジティブに受け取ってもらえて、実際に複数人の採用決定も出てきており、入社していただいているので、数値的な成果としては徐々に出てきていると思います。また、人材エージェントからの紹介で選考を進める場合に比べて採用決定に至る割合が4倍以上というのも成果だと感じています。さらに、内定を出した方がまだ1名も内定辞退が出ていないことも踏まえると、弊社の考えに共感してくれるマッチした人材を出会うことが出来ていると感じています。
また、リファラル採用に着手したことで想定外の発見もありました。
1つは、社員が友人を熱心に紹介してくれることです。
以前であれば、書類選考時点で技術スキルが足りないのでお断りしていたような方でも、ご自身の友人と働きたい・友人が仕事を探しているから力になってあげたいという気持ちから、友人の良いところも悪いところも含めてすごく熱のこもった紹介コメントを書いてくださる方が多いです。
「スキルがちょっと足りないかもしれないですが、こうした方面の知識に明るく、勉強熱心なので、早期の活躍が見込めます」など。
私たちもできる限りほとんどの方とお会いさせていただいて、社員がオススメしただけのことはあり、採用決定に至るケースも多くあります。
もう1つの想定外の発見は、リファラル採用で入社した人の配属先の現場での好影響です。
リファラル採用を通じてご入社いただいた方を「育てたい」というチームや上長の声を聞くことが多くなりました。もともと育成するといった考え方はあったと思うのですが、それが顕著に出ていると感じています。自社の社員の紹介で入ってくれたからこそ、みんなで育てていこうと。
現在の採用市場で即戦力者を採用することは霞を掴むほどに難しいので、リファラル採用を通じて育成文化が更に根強くなった点は思わぬ副産物でした。慎重派が多い弊社が、一歩前に踏み出す勇気を持ち挑戦したことで生じ始めていることですので、これからも大切にしてきたいと思いますね。
普段から紹介したくなる会社づくりをすることも大事
それは素晴らしい文化が生まれましたね。ちなみにどういったつながりの方がご入社されているのですか?
林氏:
そうですね。候補者と社員のつながりを聞いてみると、大学時代同じ研究室や同期といった関係の方が多いです。また、ご兄弟でご入社した方もいます。お兄さんが元々弊社で働いていて、弟さんをご紹介いただいた形です。
身内をご紹介できるってとても素敵なことですよね。本当に自分の会社を信頼していないとできないことですから。何か特別な施策などは以前から取り組んでいらっしゃったのですか?
林氏:
社内イベントは多いですね。一人あたりの予算を会社から支給して、部や支部で何かイベントを企画して開催する取り組みは以前から行っています。つい先日、私も潜入ゲームや脱出ゲームに参加していました(笑)。これは、皆で遊ぶことが目的ではなく、チームのコミュニケーションを活性化させ、最大化するための施策です。
いい仕事をして、いい結果をチームで残すためには人間関係ですごく大切じゃないですか?会社としては、社員に楽しく働いて欲しいし、つながりを持って仕事に臨んで欲しい。そのための投資ならば率先して行うのが弊社の考え方であります。
こうした、会社として社員同士のつながりを意識した取り組みを行ってきたからこそ、リファラル経由でのご入社の方を「育てたい」という意識が強まったのかもしれませんね。
最後に、今後の目標についてお聞かせください
林氏:
弊社の人員計画が変更されたこともあり、より一層マッチング度の高い候補者を集める必要があります。そうした中で将来的にキャリア採用の約5割はリファラル経由での採用となるように注力していきたいと考えています。
また、今後についてはリファラル採用を通じて入社した社員の活躍状況を把握していきたいと思っています。入社後3ヶ月を目安に評価シートやアンケート、ヒアリングを実施して内情を確認する。その結果、大きく価値を発揮しているということが分かれば、より積極的に社員がリファラル採用に取り組んでくれる指針になると思っています。
最後に
新たな取り組みに対して慎重派が多い会社でリファラル採用をはじめる際には、少なからずネガティブな意見が届くケースもありますが、人事担当者が親身になって応対し成功事例を生み出していくことで、多くの賛同者が生まれる可能性があるのだと感じました。
また、リファラル採用に取り組んだことで「新しい仲間を育てる」という文化が生まれたという点も注目すべきことだと思います。自社の社員が連れてきてくれたからこそ、みんなで育てていこうとチームの結束が高まったのだと思います。これもリファラル採用によるエンゲージメント向上の一つの形なのだと感じました。
リファラル採用に取り組みたいと思っているものの、一歩踏み出すことができてない企業の皆様は、MyReferを活用することで課題解決を出来る可能性もあるかと思いますので、もしご興味あれば以下よりお問い合わせください。