富士通が3万3千人の全社員に展開してリファラル採用に取り組む理由

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富士通株式会社

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富士通株式会社
人事本部 人材採用センター マネージャー 黒川 和真 氏
人事本部 人材採用センター 松橋 春奈 氏
従業員数: 連結 140,365名 単独 32,969名(2018年3月末時点)
事業概要:

テクノロジーソリューション 、ユビキタスソリューション 、デバイスソリューション

今回は、約3万3千人の全社員に展開した富士通様のリファラル採用の事例をご紹介いたします。リファラル採用を導入した経緯、制度設計や運用の課題など、社内を巻き込む上でのリアルなお話を人事本部 人材開発部 人材採用センターの黒川氏、松橋氏にお伺いしました。

狙いは転職市場に出てこない転職潜在層へのアプローチ

インタビュー風景1

リファラル採用を本格的に取り組もうとした理由は何だったのでしょうか?

黒川氏:
弊社は毎年、約750名の新卒者を採用しています。数年前からキャリア採用にも注力しており、ICT人材を中心に年間で約150名の即戦力人材を採用しています。

ICT人材は従来のICT企業だけでなく、今やさまざまな業界が必要としており、獲得競争が激化しています。
そのような中で、当社が今後注力していく分野、特に、AIやIoT、クラウド、セキュリティなどの最先端分野の専門性の高い人材に関しては、ビジネス拡大に向けてより多くの優秀な人材を確保するために、エージェントや求人媒体などの既存の採用チャネルだけではなく新たな採用チャネルの開拓が必要という課題認識を持っていました。

このような最先端分野の専門性の高い優秀な人材に関しては、そもそも転職市場に顕在化していないことから、“門戸を開き待つ” だけでなく、“求める人材を探し出し直接アプローチする攻め”の採用スタイルにシフトする必要があると考えました。

そこで注目したのがリファラル採用でした。
富士通には3万3千人の社員がおり、一人ひとりが社外に様々な人脈を持っています。業務上の繋がりはもちろん、学生時代の友人や社外での自己研鑽の場で知り合った知人の中にも、富士通で活躍することができる多様な人材が多くいるのではないかと予想できました。社員の持つ人脈の中から現在転職を考えている知人・友人はもちろん、まだ転職を考えていない人材や他社を見ていない人材にも社員を通じてダイレクトにアプローチできるため、今まで出会うことのできなかった人材を採用するのに有効と考えました。

リファラル採用を制度化し全社展開していくことで、弊社の抱える採用課題の解決に繋げることが出来るのではないかと考えました。

大規模展開するからこそ段階的な制度設計が重要

インタビュー風景2

今回、リファラル採用を行う上でMyReferを導入したのはなぜですか?

黒川氏:
リファラル採用を浸透させるためには、全社員に富士通で活躍する可能性がある人材を採用することについて、自分事として関心をもってもらうことが重要と考えています。

その中で、まずは大前提として、友人への紹介をすること自体の敷居が高いと、制度化したものの文化として定着しないことが予想できたので、リファラル採用の取り組みを促進するために“紹介しやすさ”を重視してMyReferの導入を決めました。
特に、スマートフォンでLINEやFacebookなどの様々なSNSを通して気軽にワンクリックで友人に紹介できる点に惹かれました。

また、紹介者・被紹介者の管理やリファラル採用で募集する求人を一元管理出来るのに加えて、全社員の活動データが見える化できるので、そもそも制度がどこまで浸透しているのかが分かるので管理する側からすると効率的に運用が出来ると感じました。

松橋氏:
その他にも、リファラル採用の制度設計をしていく上で、職場の方からスペックにあわない知人や親戚等が推薦されてきたときに、断りにくくなるのではないか等、運用面に対する不安がありました。
結局のところ、インセンティブをいくらにすればいいのか?という議論もありました。

他社の事例などを参考にしながら制度づくりを始めましたが、500社以上のサポート実績をお持ちのMyReferさんのコンサルティングは大変心強かったです。

全社展開を見据えて制度設計を進めていく上でどのようことを実施しましたか?

黒川氏:
まずは、想定される懸念を払拭するためのルールづくりを行いました。例えば、選考プロセスに紹介者は関与しないことや、紹介対象に関する考え方についてガイドラインを設定するなど、制度の目的に沿った社員紹介が行われるようルールを明確にしていきました。

また、インセンティブの金額も検討しました。世の中の水準を確認してどのくらいの金額が妥当なのかを考えましたが、最終的には制度を機能させる上で金額が高ければ社員が良い人材を紹介するのかというとそうではないだろうという結論に至り、他社並みの金額に設定することで落ち着きました。「この友人が入社してくれたら会社に貢献してくれるのではないだろうか」と思った際にリファラル採用制度があることを認知してもらえていることが重要であって、インセンティブの金額が大きな影響を及ぼすことはないと考えています。

松橋氏:
制度内容を固めた上で、4ヶ月程度のトライアルを実施しました。懸念していた事態は発生しないか、どのくらいの人数の社員が実際に紹介してくれるのか、社員からどのような人の紹介があるかなどを検証することで、設計した制度に問題がないかを確認しました。
トライアル後のアンケートでは、基本的には前向きな意見が多く、「もっと求人内容に企業情報を記載した方が良い」などのフィードバックもありました。検証結果を踏まえ、全社展開して問題ないという判断が出来ました。

また、トライアル検証を実施したことで面白い発見もありました。例えば、協力的な社員の所属・職務・年齢の傾向や、部門を越えての紹介が想像以上に多いことや、社員からの閲覧数が多い求人と実際に社員が多く紹介を実施した求人がイコールではなかったり、AIやIoTなどの最先端分野の求人にはとても多くの社員が閲覧していたりと、MyReferの管理画面から見ることが出来るデータ自体、とても興味深いものでした。全社展開を進める上での運用施策を考える上での参考になりました。

リファラル採用だからこそリーチできた専門職人材、グローバル人材

インタビュー風景3

どのような方法で全社への展開を実施しましたか?

松橋氏:
トライアル検証を踏まえて制度設計としては完了したものの、全社で約3万3千人の社員がいる中で、リファラル採用制度を本当の意味で社内に浸透させていくということ重要でした。

まず行ったのは、人事部門のトップからの全社員に対してのメッセージ発信です。会社として注力施策であると認知してもらえるように周知しました。社員向けにリファラル採用のホームページを立上げ、制度概要や登録ページのリンク、Q&Aシステムのリンクなどを掲載しました。
その後は、各部門の会議体や研修に足を運んでの説明実施や、新卒や中途の入社説明に紹介ツールの設定時間を設けるなど、地道に協力者を増やす活動をしています。また、社内報にて入社者のインタビュー記事を掲載して、リファラル採用に関する認知を高めることも行いました。

リファラル採用を全社で取り組み始めた結果としてどのような成果が出ていますか?

黒川氏:
導入後1年弱ではありますが、明らかに紹介数が増えており、採用決定数も伸びているため、手ごたえを感じています。この制度を活用し、この1年で約20名を採用しており、初年度としては良い滑り出しだと考えています。

特に、転職潜在層に対するアプローチに成功していることは大きな成果だと感じています。まだ転職を全く意識していなかった、優秀な人材にもアプローチができているというのは、非常にありがたいことだと感じています。

また、我々も予想していなかった意外な紹介事例としては、グローバルな環境で活動するポジションに対して、過去に海外の企業との連携プロジェクトの際に知り合った外国籍の知人が採用できたことです。社員の人脈を活かせばグローバルビジネスで活躍できる人材を海外から採用できる可能性もあることを実感できたのは新たな発見でした。

富士通の採用戦略の軸としてリファラル採用を育てていきたい

インタビュー風景4

リファラル採用に関して、今後の方向性や展望を教えてください

松橋氏:
少し具体的な今後の施策の話をすると、社外向けのホームページにリファラル採用について掲載する予定です。
今までは社員に対して優秀な人材の紹介をお願いする形だったのですが、例えば、弊社に興味を持っていただいた方が富士通はリファラル採用を行っているということを知って、社員に「紹介してもらえないか」とアプローチしてくれれば、両面から活動を促進できのではないかと考えています。
この制度を活用した入社者からは、「応募前に富士通のビジネススタイルや、企業風土、上司と部下の関係などを確認できたことから、入社後、大きなギャップを感じることなく仕事に取り組める」との声をいただいており、信頼できる社員からしっかり話が聞けるというのは、求職者の方にとってもメリットだと思っています。

黒川氏:
専門性の高い人材の採用や、社員の採用に対する意識向上という観点で一定の成果は出ておりますが、現状の活動データを見る限りではリファラル採用に協力してくれているのは3万3千人いる社員のうちの一部の社員に限られている状況であり、より全社浸透させていく必要があると考えています。

将来的には、現在のエージェントからの推薦による採用手法に並んでキャリア採用の軸となるよう、リファラル採用を育てていきたいと考えています。

この一年で、社員が社外の人脈で良い繋がりを持っていることと、社員が事業戦略や求める人材要件を正しく理解して紹介してくれることが分かりました。このような紹介事例を社内外に発信しつづけることで、社員の人脈から採用活動をつなげていくような動きを取ってもらえるようになってくれるといいなと思います。将来的には、社員一人ひとりが積極的に優秀な人材を紹介する風土、文化を目指したいと考えています。そういった意味での広報活動、インターナルブランディングに今後も力を注いでいくつもりです。

また、組織全体の話ではありますが、いろんな組織課題に対して自分事化して考えていく組織文化の醸成を図っていきたいとも考えています。リファラル採用もその文化醸成に貢献する一つの手法だと思っていて、「採用は人事がやってくれるというもの」という考えから、「自分たちと一緒に働く仲間集めは自分たちでなんとかしていこう」という考えに変わっていく流れが作れたらと思っています。

最後に

今回は「富士通が3万3千人の全社員に展開してリファラル採用に取り組む理由」というテーマでリファラル採用事例をお伝えしました。

社内を巻き込んでいくのは大変ですが、富士通様クラスの大企業であれば尚更のこと。
いわゆる”待ち”の採用で終始してしまう企業様が多い中、組織をよくするために尽力するお二方の姿勢とその行動力こそが、優秀な社員が入りたがる富士通様の原動力になっているのだなと改めて認識しました。

弊社としても引き続きリファラルという採用ツールを通して、社内広報や巻き込みを含め、組織作りに貢献していきたいと感じるインタビューでした。

自社にマッチした人材の活用、エンゲージメント向上に繋がるリファラル採用にご興味があれば、ぜひMyReferを活用したリファラル採用のご導入を検討してみてください。

リファラル採用にご興味のある企業様は、以下よりお問い合わせください。