昨対比125%のトップラインを伸ばした 外食企業ギフトが語る 「人財の採用・育成・定着施策」とリファラル採用【セミナーレポート】

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株式会社ギフト

コロナ禍により、外食業態をはじめとするサービス業は、厳しい環境に置かれています。その中でも、2020年9月に東証マザーズから東証一部に市場変更し、昨対比125%のトップラインを伸ばした企業が、株式会社ギフト様です。

「横浜家系ラーメン町田商店」をはじめ500店舗以上を展開する同社は、2021年10月期の新規採用計画を、過去最多の2200名に拡大。2025年に1000店舗という目標を果たすべく、現在外部からのリファラル採用、内部のパート・アルバイトからの正社員登用、そして退職者を再び雇用するアルムナイ採用を積極的に推進しています。

2021年2月9日に開催したウェブセミナーでは、株式会社ギフト 人財企画部部長の吉川様をお招きし、人財の採用・育成・定着に関する戦略を紹介していただきました。

株式会社ギフトロゴ
株式会社ギフト
人財企画部 部長 吉川正 氏
従業員数: 社員 400名 パート・アルバイト 1,534名(2020年10月末日現在)
事業概要: 「町田商店」を始めとして全国500店舗以上のラーメン店を運営

第一部:サービス産業における「リファラル採用の優位性」とは

セミナーの冒頭では、Account Consulting部の関が登壇。サービス産業におけるリファラル採用について説明しました。

サービス産業を取り巻く環境とリファラル採用

株式会社MyRefer 関(以下 関):
まずサービス業界を取り巻く環境としては、緊急事態宣言の延長が決定し(2021/2/9時点)、消費減速によって依然として厳しい市況感です。

また、コロナウイルスの影響により採用や組織戦略のトレンドにも変化が見られ、従来よりも早いスピードでの変革を余儀なくされている状況です。採用コストの削減はもちろんのこと、経営とHR戦略を連動させて、生産性向上とエンゲージメント向上の両輪をまわして一体感のある組織を創っていくことが求められます。

そんな中、リファラル採用のメリットとしては、(1)マッチング精度の向上と離職率の低下、(2)中長期的な採用コスト削減、(3)社員・アルバイトのエンゲージメント向上だと考えています。特に、正規・非正規ともに従業員規模の大きなサービス産業こそ、リファラル採用は非常にROIの高い採用手法だといえるでしょう。

サービス産業におけるリファラル採用のメリット

リファラル採用とエンゲージメントの関係性

関:
特に(3)エンゲージメント向上について説明しましょう。多店舗展開をするサービス業の場合、人事と現場との距離が物理的に遠いため、現場のエンゲージメントを上げることはなかなか難しいのではないでしょうか。実はリファラル採用活動とエンゲージメントとの相関性は非常に高いと言われています。具体的には、従業員が自社のことをよく知った上で、自分の口で友人に伝えることで、帰属意識や愛着心が向上するのです。そして、知り合いや友人の多い職場はその分従業員同士の“つながり”も深まります。

一方で、「店長から反対されそう」「アルバイトが協力してくれないのではないか」といった、店舗数や従業員数の多いサービス業界ならではの障壁があることも事実です。そうした課題をどのように乗り越えていかれたのか、第二部ではギフトの吉川様にお伺いしていきたいと思います。

第二部: ラーメン運営・ギフトの人財施策とリファラル採用

ギフト 吉川氏(以下 吉川氏):
はじめまして、株式会社ギフト 人財企画部の吉川と申します。私はもともと「すかいらーく」で店舗マネジャーやエリアマネジャーを経て、ここ10年ほどは人事・採用に携わっています。すかいらーく退社後2社ほど外食企業で人事マネジャーと経験し、去年の2月にギフトにジョインしました。

株式会社ギフトは、社員が約400名、パート・アルバイトは約1,600名います。直営店は122店舗、プロデュース店という形態で532店舗を展開しており、昨年9月に東証一部に市場変更をいたしました。今期の採用計画については、21年新卒入社は40名、中途入社は年間120名、キャスト(パート・アルバイト)は年間2,000名程度を予定しています。

私たちは、「シアワセを、自分から。」という理念を掲げています。人は誰もが幸せになりたいものですが、自分だけ・自分の会社だけが幸せになればいいという訳ではなく、お客様や一緒に働いている仲間に自分から幸せを届けられるような人たちになっていこうということ。そして、この理念に共感してくれる仲間、体現してくれる仲間を増やすべく、採用コンセプトもそのまま「シアワセを、自分から。」としています。

株式会社ギフトの2021年度の採用骨子

その上で、中期経営計画として国内1,000店舗出店を実現するための採用チャネルとして、(1)リファラル採用、(2)内部採用、(3)アルムナイ採用を、“3本の矢”として強く推進しております。

導入背景:

“3本の矢”というリファラル採用、内部採用、アルムナイ採用に注力する背景について教えていただけますでしょうか。

吉川氏:

■ リファラル採用
従来の採用方法と比較して、リファラル採用に大きなメリットを感じたからです。まず、企業側にとっても、働く側にとっても、お互いをよく知ることができるため、ミスマッチが少ないということです。さらに企業側からすると、マッチング精度が高いため、それほど多くの母集団を形成せずとも効率的な採用活動をすることが可能です。

リファラル採用のメリット

■ 内部採用
またキャストの友人の紹介だけではなく、キャストさん自身の正社員登用も、リファラル施策のひとつとして推進しています。この内部採用に関しては、業務に習熟し企業文化をよく理解している人材を確保できるということ、適性を見極めた採用・配置ができること、そしてOJTのコストが低く抑えられることがメリットとして挙げられます。さらに、内部採用を推進することで、現在のアルバイト・パートさんの次の目標になり、モチベーションにも非常に大きな影響があるといえます。

外食業界、特にラーメン店の場合は採用が難しい分野です。その中でも、この仕事に興味をもってくれるキャストさんを、そのままキャストとして終わりにするのではなく、もっと活躍し成長できるようなステージを用意していきたいと思っています。特にギフトは、年間40店舗から50店舗の新規出店を実現しているので、リファラルで採用した方や内部から正社員に登用した方に活躍していただけるポジションが続々と発生しています。

■ アルムナイ採用
続いて、これからの取り組みになるのですが、アルムナイ採用「おかえりGIFT」も推進していきます。残念ながら様々な事情でギフトを退職した方に対して、リファラルの一環として個人的な繋がりのある店長やブロック長、店舗社員にMyReferで声を掛けてもらい、再雇用につなげていく取り組みです。

これも双方にとって大きなメリットがあると思います。企業側としては、制度が公に運営されることで、既存社員も戻ってくる人を温かく迎える心構えができるでしょう。そして、戻ってくる方は当然即戦力ですし、特に店長経験者の場合は、数カ月で店長ポジションを任せることができます。さらに、一旦社外に出ることで、改めてギフトの良さを再確認していたり、外部で色々な経験をしてスキルアップをした状態で戻ってきてくれるため、組織に対してもいい影響を与えてくれると思います。

リファラル採用を導入するにあたり、何かハードルはありましたか?

吉川氏:
私が入社する前にも、ギフトはリファラル採用に取り組んでいました。しかし、ツール導入の失敗、そしてなかなか現場への浸透がうまくいかず、途中でやめてしまったという経緯があります。

そこでまずリファラル採用推進の意識付けを行うために、元々社内で導入していたコミュニケーションツールを活用することにしたのです。本社と現場とのコミュニケーションを活性化するため、業務連絡だけではなく採用についても情報を発信したり、「シアワセ休暇」という連続5日間の休暇制度の活用事例エピソードを共有したりしました。

コミュニケーションツールの活性化を進めたのですね。現場の方からすると負担が増える懸念もあると思うのですが、そこはどのように導入まで進めていきましたか?

吉川氏:
以前はキャスト採用に関して、各ブロック長が直接媒体の担当者とやりとりをしていたため、ある意味代理店任せの採用計画になってしまっていました。そのため、採用単価は非常に高く、見たこともないような金額になっていました。そこを、人財企画部に予算・依頼ともに集約することで最適化を行ったのです。特に店舗の採用コストはPLに跳ね返る、つまり店長の評価に直結するため、ここを最適化したうえでリファラル採用を導入して採用単価をおさえることは店長にもメリットを与えられると考えました。

しかしながら、コロナ禍において店舗では様々な対応をしなければならず、全店一斉にリファラル採用を導入することは難しいと判断しました。そこでまずは、採用難易度の高いエリアや、協力的なエリアからスモールスタートで、徐々に広げていくことにしたのです。そして、より現場のスタッフが紹介しやすいツールとして「MyRefer」を導入していくことにしました。

リファラル採用で現場に負担をかけない展開施策

その後、どのようにリファラル採用を社内に展開していきましたか?

吉川氏:
まず役職者や現場に対する説明会を実施したり、グループLINEを作ってフォローを実施したり、説明会以外の場でも交流を実施したりして、想いを伝えていきました。

さらに、キャストさん向けの社内情報ツールとしてMyReferでは採用に直結する自社のネタを配信しました。例えば、紹介の仕方や、ラーメン豚山のYouTubeチャンネル広報、そして新店オープンの情報を、社内ニュース配信機能を活用して発信していったのです。

また、求人情報については「ブランド別」「雇用形態別」「新店」という風に分け、どれを紹介すればいいのか一目で分かるように工夫して作成をしました。MyReferは、「1クリックで紹介できる機能」があることから、キャストさんからの紹介が増加しました。

求人作成でも工夫を

インセンティブはどのように設計しましたか?

吉川氏:
当社では、直営店の店長に対して、業績等でインセンティブポイントを付け、毎月ランキング化しています。そして順位に応じて、給与とは別にインセンティブを支給しているのです。もともと店長昇格時に年収500万円をクリアできるよう、業界トップクラスの給与水準に設定していることもあり、インセンティブポイントでずっと上位を取り続けている店長は年収1000万円を超え、上司であるブロック長や営業部長よりも年収が高いということもあります。

このインセンティブポイントを、売上のみならず採用や育成・定着に関わる項目も付与の対象にすることで、社員の当事者意識を醸成しています。また、他の項目についてのインセンティブポイントは数点~数十点ですが、社員登用は中途100点、新卒150点という高い設定です。これが、内部登用が生まれやすい文化醸成に役立っているのだと思います。

内部応募にあたってのインセンティブ制度

インセンティブ以外では、何か内部登用につなげる工夫はありますか?

吉川氏:
内部登用の候補になりそうなキャストさんを、予めリスト化しています。そして、店長やブロック長と「この店舗のこの人はどうか」と、密に情報を共有し、個別に声を掛けてもらっています。

リファラル採用の具体的な事例についてお聞かせください。

吉川氏:
「ラーメン豚山」というブランドでは、展開してわずか1週間で決定が出ました。このブランドは社内で一番ITリテラシーが低く、協力が得られないだろうと考えていたのですが、店長会議に私たちが参加してその場でMyReferの使い方をレクチャーしてメリットを丁寧に説明することで、成果につながったのだと思います。

また、採用が難しい「浅草商店」では、採用が難しい地域にもかかわらず、3名の入社が決まりました。ここは新店でオープニングスタッフの採用が決まったらすぐにMyReferに登録していただき、リクルーター活動を進めてもらうことで結果につながりました。

あと少し変わったところでは、ラーメン好きが集まるサークルでもリファラル採用が生まれています。色々な大学にラーメン同好会がありますし、ラーメンとSNSの相性は意外と良く、様々な繋がりが生まれています。そこをうまく使って、今後もリファラル採用に繋げていきたいですね。

リファラル採用における成果や事例

リファラル採用数の実績も、上がってきていますね。

吉川氏:
20年卒の新卒採用に関しては、20名のうち2名がリファラル採用。21年卒の新卒採用予定者は41名ですが、そのうち11名がリファラル採用経由です。また中途採用においても、144名入社のうち24名がリファラル経由と16.7%にのぼります。

リファラル採用の土壌や風土をしっかりと作るため、まずは内部からの登用を促進する施策を進めたり、リファラル採用のメリットを社内にしっかりと理解してもらったりしてきました。その上で、MyReferを今後さらに活用していきたいと思っています。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

吉川氏:
我々は、2025年に国内1000店舗、その先には海外1000店舗を展開し、ラーメンで世界一の企業になることを目標に掲げています。ギフトの一番の強みは、「シアワセを、自分から。」という理念のもとに多くの社員が集まり、日々の仕事の中で本気で実現しようとしていることです。私も入社1年経ちましたが、ここまで理念が浸透している企業は珍しいと思います。

リファラル採用の今後の展望について

このように成長を続けるにあたり、新卒・中途ともに採用数はどんどん上がっていきます。しかし冒頭申し上げた通り、採用数を上げるから母集団も多く形成できるかというと、そこには限界があります。やはり、どれだけ我々の理念に共感できる人を多く集められるかどうかがカギになってくるでしょう。そういう方々を、MyReferのようなツールを活用しつつ、コンサルティングでもお世話になりながら、進めていきたいと考えています。

ありがとうございました!

編集後記

吉川様からもお話しいただいた通り、採用課題が深刻化・複雑化しているいま、ツールさえ導入すればすべてが解決するというわけではありません。リファラル採用を受け入れるための風土の醸成、そして導入後の促進、活性化など、各フェーズで様々な課題に直面するはずです。そこでMyReferでは、企業様ごとのリファラル採用の課題に適したコンサルティングパッケージをご用意しております。

また、外食企業様の情報交換の場として「外食分科会」も開催しております。ご興味ありましたら、MyReferにお気軽にご相談ください。