
そこで今回は、人事戦略部 部長 角谷 幸子氏、人事戦略部 リーダー 鈴木 綾一氏に、採用ポリシーやMyTalent導入の決め手、具体的な取り組みやエピソードなどについて伺いました。

バルテス株式会社 | |
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従業員数: | 756名(2022年9月末 グループ5社計) |
事業概要: |
ソフトウェアテストサービス、品質コンサルティングサービス、ソフトウェア品質セミナーサービス、セキュリティ・脆弱性診断サービス、その他品質評価、品質向上支援サービス |
人事戦略部 部長 角谷 幸子 氏 | |
人事戦略部 リーダー 鈴木 綾一 氏 |
採用マーケティングを推進し、人事体制を変革──事業成長により、質・量ともに採用目標が大幅アップ
まずは、貴社の事業内容と方針についてお聞かせください。
角谷氏:
バルテスは品質向上のトータルサポート企業を目指し、ソフトウェアの開発工程での品質改善や品質向上を専門的に行う会社です。技術革新で激変するICT社会において、「お客様のソフトウェア品質への責任」「高い品質目標に対する積極的な関わり」というポリシーのもと、ソフトウェアテストを通じて安心で安全なICT社会の実現に貢献したいと考えています。事業方針は、IT領域全体に大きく事業を広げていくよりも、品質領域でナンバーワンを目指し、品質ビジネスにこだわって技術や提供できる専門性をさらに尖らせていくことを掲げています。
次に、人事の組織体制について教えてください。
角谷氏:
当社の事業成長において、採用は最も重要な経営課題の一つです。そのため、各採用活動にしっかりとコミットできる組織体制を整えています。組織は大きく未経験者採用と経験者採用、2つのグループに分かれています。未経験者採用グループでは、新卒と第2新卒を含む20代のポテンシャル層の採用を担当。経験者採用グループでは、最大20ポジションの求人を職種やグループ会社毎に担当を細分化しています。また、今期の途中からは母集団形成の専任チームを立ち上げ、選考対応チームが入社意向アップやクロージングに集中できる体制に分けました。
まさに採用マーケティングを行っていく組織体制に変革されたのですね。続いて、採用方針をお伺いできますか。
角谷氏:
未経験者から経験者まで幅広く採用をしていますが、一貫しているのは「質を伴わない採用は、自社にとっても求職者にとってもお客様にとっても、良い結果にはならない」という信念です。もちろん、ビジネスを大きくしていくためには人数を増やすことが必要ですが、誰でも良いというわけではありません。経験者であればこれまでの実績を見極めて採用していますし、未経験者であればスクリーニングや選考過程でマッチングを見極め、お互いに幸せになれるかどうかを追求して採用する方針です。選考プロセスは、面接に加えてWEBテストなど様々な角度から見極めをしています。かつ求職者の満足度を高め、意向を上げてもらえるよう、良質な候補者体験の提供を意識しています。
今期の採用目標についてもお聞かせください。
角谷氏:
グループ全体で掲げている目標は、150名を超えてきています。事業が右肩上がりで伸びているため、数も質も昨年と比較して大幅にアップしています。この背景にあるのが、お客様からの期待値の高さです。特にこの半年間は、お客様からの引き合いが大幅に増加しています。また業務量だけではなく、お客様の課題感の変化に伴い、求められる業務品質も上がっています。以前より難易度の高い品質改善課題をお客様は抱えていらっしゃるのですが、お客様が求めるレベルで一緒に取り組める専門会社は多くはありません。そのなかで、私たちを評価し頼ってくださるという状況が、ありがたいことに続いているのです。そうなると業務の難易度も上がりますし、プロジェクトの規模も大きくなります。そこで中核となる人材のニーズが増え、数も質も求められるレベルが自ずと上がってきているのです。
過去内定辞退者のナーチャリングとタレントプール採用で、これまでのつながりを活かした持続可能な採用に取り組む
これまで、どのような採用手法を取られていたのでしょうか?また、その中で感じていた課題を教えてください。
角谷氏:
基本的な採用チャネルはほぼ網羅しています。エージェント、ダイレクト、一般の媒体、対面イベント、リファラルなど、あらゆる手段を活用してきました。ご存知の通り、ITエンジニアは市場価値が高騰しており、競合他社とのバッティングが熾烈です。過去の求職者にヒアリングすると競合3社を同時に受けている方が多く、同業界の会社とほとんどバッティングしていました。さらに最近では、事業会社やSIerでも自社でソフトウェアの品質保証部門を立ち上げる動きがあることから、従来は採用競合ではなかった会社ともバッティングするようになりました。世の中のありとあらゆる企業が採用競合になりうることが、直近の課題ですね。
なかでも難しいのは、限られたリソースでスピード感を持ってPDCAを回し続けることです。あらゆるチャネルをしっかりと使いこなしながら、現状分析と改善を繰り返すことは、頭ではわかっていてもやり切ることが難しいです。
MyTalentを導入して過去の内定辞退者のナーチャリングなど、採用マーケティングをしようと思った背景をお聞かせください。
鈴木氏:
コロナ禍でさらに採用競争が激化し苦戦を強いられるなかで、新たな母集団を形成し続けることは容易ではありません。そこで、これまでのつながりを活かすタレントプールの活用にも目を向けようと思ったことがきっかけです。その際、過去内定辞退者をナーチャリングできないかと考えました。良い選考体験を提供することができれば、たとえ内定を辞退したとしても、良い人間関係につながるという経験が、これまでに何度かありました。振り返ると、「内定辞退になったとしても、バルテスを好きになってもらう」ことを強く意識して選考にあたってきました。そこで、キャリア相談やカジュアル面談などを通じて、もう一度バルテスに目を向けてもらい、入社につなげられるようなアクションを始めました。
そのなかで、MyTalentを選定した理由は何ですか。
鈴木氏:
選定の理由は、サービス機能と支援体制の2つです。サービス機能の観点では、タレントプールに特化したSaaSであることと、現在使用している採用管理システムと併用することができ、細かくカスタマイズできる点が魅力でした。また、アンケート機能や計測機能が揃っており、採用マーケターとして戦略を考えるうえで大きな材料になると感じました。潜在層へのアプローチは結果が出てくるまでに少し時間がかかるため、中長期的な視点でのアクションの成果を実証できるデータがあることは、非常にありがたいですね。
支援体制の観点では、「こういうサービスは導入時も導入後もかなりの労力がかかるのではないか」という不安がありましたが、データのクリーニングなど含めて手取り足取り対応してくださり、頼もしかったです。また、過去内定辞退者をナーチャリングする上でのノウハウやナレッジが豊富にある点もポイントでした。はじめからソフトウェアテスト業界を目指して転職する方は、あまり多くありません。そのため転職潜在層には、まずバルテスの事業を知ってもらい、次に魅力を感じてもらうという段階を踏む必要があります。そうした、段階を踏んでナーチャリングをしていく観点を踏まえて提案をいただいたことに、安心感と納得感がありました。
過去内定辞退者の掘り起こしにより、早期に採用実績を創出──中長期を見据え母集団を増やす取り組みもスタート
MyTalent導入後、どのような取り組みを行いましたか?
鈴木氏:
過去の辞退者への定期的なコミュニケーションと、自社のオウンドメディアに誘導する取り組みを行っています。また、タレントプールの母集団を増やすため、TECHPLAYを活用した試みもスタートしました。TECHPLAYでは、セミナー視聴申し込みをいただいた300名以上の方々に、MyTalentを通じてメッセージを送りました。
採用マーケティング全体の成果を教えてください。
鈴木氏:
新卒採用の過去内定辞退者90名ほどにメッセージを送り、そのうち6~7名がカジュアル面談実施につながりました。そこから内定提示1名、内定承諾者1名という成果が出ています。また、このアクションを契機に、多くの方々と継続的にコミュニケーションを取れるようになりました。TECHPLAYのセミナー経由では、約300名にメッセージを送ったなかから、カジュアル面談の希望者が15名。そこからカジュアル面談を5名に実施し、内定者が1名生まれています。
タレントプール活用は、成果が出るまである程度時間がかかるイメージがありましたが、思った以上に反応があり、足もとでの採用創出につながっていることは、嬉しい誤算でした。これだけ良い反応が得られるのは、私たちがもともと良質な候補者体験を心がけて選考していることもありますが、MyTalentの手厚い支援体制に尽きます。候補者に合ったタイミングや内容に対応してくださる、きめ細かくスピーディーな支援に救われています。
カジュアル面談や内定承諾に至った方のエピソードをお聞かせください。
鈴木氏:
新卒の過去内定辞退者については、社会人5年目くらいの方々をターゲットにメッセージを送りました。ほとんどが、新卒でIT業界の企業に入社し、さまざまな経験を通してスキルを身につけている方々でした。入社から約5年が経ち、今後のキャリアを考えて転職を検討している人や、転職は考えていなかったけれど話を聞きたいという方が多かったですね。
最後に、タレントプールや採用マーケティングについて今後の展望を教えてください。
鈴木氏:
中途採用市場では、どうしても即戦力採用を重視しがちです。しかしリファラル採用をはじめ、中長期的な目線で自社に合う人材を採用していかなければ、5年後・10年後に結局人材の枯渇にみまわれるでしょう。特にITエンジニアは、その課題に直面するはずです。だからこそ、このタイミングで潜在層に対するアプローチや、タレントプールの定義を自社で作るような取り組みができることは、非常に価値があると思います。採用実績も少しずつ出ていますが、これから2倍3倍と成果を上げていくためにも、タレントプールの定義も一緒に考えていきたいですね。
角谷氏:
即時効果のある方法での採用は、数を担保するうえで非常に重要です。しかし組織づくりにおいては、中長期的な視点が欠かせません。そのためにも、継続的なつながりのなかで当社を好きになっていただき、長く活躍いただける方との出会いが必要です。MyTalentのようなサービスを活用することで、そういった方々と出会えることが、採用の醍醐味だと感じています。このサービスを経由して、再び出会える機会どんどん増やし、採用の幅を広げていきたいですね。
編集後記
MyTalentを導入し、タレントプールの運用に取り組むバルテス様の事例を伺いました。IT人材の採用競争が激化するなかで、新たな母集団を形成し続けることは、新卒採用においても、経験者採用においても大変困難な世の中です。そこで、過去の内定辞退者のナーチャリングを中心に、MyTalentを活用いただいています。「求職者に良質な選考体験を」というバルテス様の採用ポリシーを実現するためにも、こうした継続的なつながりを意識した取り組みは、非常に意義があることだと思います。
MyTalentでは、タレントプールに関わる様々な機能と伴走体制を整えてご支援をいたします。タレントプール構築や、中長期的な視点での持続可能な採用の仕組みづくりを目指す方は、ぜひお声掛けください。
※写真は@人事より提供(https://at-jinji.jp/blog/31519/)