複数内定承諾者4名が告白「コロナ就活の本音」とは?内定者とのコミュニケーションの秘訣を徹底解剖

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新型コロナウイルスによって、21卒就職活動は大きな変化を余儀なくされました。面接はもちろんのこと、就職活動のあらゆるプロセスがオンライン化。情報収拾が思い通りにいかず、就職先への決め手に悩む学生もいる一方で、経済環境の悪化により「内定取り消し」への不安感を抱く内定者も数多く存在しています。このような状況を踏まえ、MyReferでは2020年9月に「複数内定承諾者がコロナ時代の就活への本音を語りつくす!内定者エンゲージメントセミナー」を開催。21卒内定者4名を講師に迎え、コロナ禍での就職活動においてどんなことを考え、どのようなフォローを求めていたのか?その“本音”について語っていただきました。今回はその様子を抜粋してお届けします。

従来の就職活動とは全く異なる環境の中、学生や内定者の気持ちを知り、効果的なコミュニケーション方法を考えるヒントを得たい方、必見です。

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24卒理系就活生が語る「就活のリアル」

就活生の約4人に1人が、複数の内定承諾をしている

セミナーの冒頭では、MyRefer事業企画グループ 兼 シニアコンサルタント山地寿幸が登壇。2020年7月に実施した「就活生意識調査」の結果について説明しました。

山地:
MyReferでは、2021年3月卒業予定で1社以上内定を持っている大学生・大学院生403名へ独自のアンケートを行いました。その調査結果から予測される、今後の採用課題と方針をお伝えします。

2020年の7月に1社以上内定を持っている学生のうち、約1/4の学生が複数の内定承諾を意向しています。その理由として、「オンライン面接によって企業の判断材料が少ないこと」、「内定取り消しへの不安」が挙げられています。そして、その中で最終的な入社先を内定式後に決めると考えている学生が半数ほどいます。

また、入社意思決定に影響を及ぼす情報に関しては、理系・文系で多少理由が変わってきますが、文系では「クチコミサイトや先輩のアドバイス」、理系では「内定者同士や人事からの情報」を基に判断している学生が多い傾向となっています。

次に、これらをもとに22卒採用の動向についてもお伝えします。
現在、オンラインでインターンなどを実施して早期接点を取ることが主流になっています。ただし、オンラインでは「企業・学生相互が魅力を伝えきれていない」という懸念点はあります。また、オンラインによって参加のハードルが下がり、学生はおよそ8社のインターンに参加するため、ますます他社との差別化は困難になるでしょう。

そんな中、最近ではインターン以外にもSNSで企業の情報を集めようとしている学生も増えています。リアルなイベントや説明会で横のつながりができず、SNSでつながる傾向です。

最後に、こういったリアルな情報が集めにくい状況下だからこそ、身近なつながりの先輩に就活状況を聞く学生も多くみられています。21卒の学生の7割は先輩に就活相談をしており、そして9割の学生が後輩の相談にものりたいと考えています。企業としては、社員や内定者にファンになってもらい、この機会に自社を語ってもらうことが一つの解決策になるのではないでしょうか。

21卒内定者に聞く!内定先の決め手や後輩への就活相談

第二部では、21卒の複数内定承諾者4名にさまざまな質問を投げかけ、就活経験から感じた思いや本音をお聞きしました。ここからは、4名の「リアルな声」をご紹介していきます。
(※以下の情報はセミナーを開催した2020年9月17日時点のものとなります)

複数内定承諾者4名

情報を集めきれていない、内定取り消しへの対策……複数の内定承諾をした理由

コロナ禍での就職活動の状況と、複数の内定承諾を得た理由について聞かせてください。

メーカー系企業文系内定者Aさん:
複数内定承諾を得たのは、2つの不安があるからです。1つ目が、内定取り消しの不安です。内定をいただいている2社は、どちらも大手企業ではありますが、内定取り消しの可能性がゼロではないと思います。10月1日の内定式までは、内定書などの書類が届かないので安心だとは言い切れません。

もう1つの不安は、オンラインだけで選考が進んだことで、どちらの会社に決めるか判断するための情報を集めきれていないことです。1社は夏・冬のインターンシップに参加していて十分な情報があります。しかし、もう1社はインターンシップにご縁がなく、事業内容などの企業理解はあるのですが、実際に働く社員の声やキャリアパスが聞けていない状態です。そのため、会社で働く姿が思い描けず、絞り切れていないのが現状です。10月1日にある入社式には両方出席し、10月末に最終判断をしたいと考えています。

メーカー系企業理系内定者Bさん:
私が複数内定承諾を得たのは、昨年リクナビ問題があったこともあり、企業に対してあまり信頼を持っていないことが理由です。また、6月1日から10月1日は内々定でいつ内定取り消しがあってもおかしくないため、できる限り自分が有利な状況にいれるようにと考えました。

そして先週、内定通知書をいただき契約書を結んだので、1社に決めることにしました。他社ではオンラインのやり取りだけの企業もありましたが、それだけだと本当に受理されているのか分からず不安でしたね。

やはり、内定取り消しやオンライン選考でのリアルな情報が得られず不安な部分があるのですね。Cさん、Dさんは複数承諾からいつ頃絞りましたか?

インフラ系企業内定者Cさん:
私は3社から内定をいただいていましたが、6月上旬には1社に絞りました。企業や他の選考者に対して迷惑をかけたくなかったので、早めに決断しました。

外資系企業内定者Dさん:
私は複数内定承諾をしていましたが、8月に1社に絞りました。商社の選考が終わるのが7月いっぱいで、選考スケジュールの関係で複数承諾していましたが、その時点で「自分の就職活動は終わった」と判断したからです。

Aさんは今も複数の内定承諾をする中で、最終的にどのような情報から絞ろうと思っていますか?

メーカー系企業文系内定者Aさん:
私の場合まだ決めきれていませんが、2つの情報を知りたいと思っています。1つが配属に関する情報です。どちらも大手企業の総合職採用のため、職種や勤務地も多く、希望がどれだけ通るのか不明です。人事の方への印象を考えると内定をもらうまではあまり配属の話を聞けなかったので、これから実情を聞きたいです。

2つ目が、女性社員のロールモデルについてです。選考でお会いした女性社員が人事だったため、現場の女性社員と話す機会がありませんでした。海外駐在も希望しているので、いろんな職種の女性社員から話を聞いてみたいと思っています。

配属情報やロールモデルの社員とお話して、よりリアルな働くイメージを持ちたいということですね。Bさん、Cさん、Dさんは最終的にどのようなことが決め手になりましたか?

メーカー系企業理系内定者Bさん:
実は私が決めた会社には、一度辞退の意思を伝えていました。辞退の電話をした時に、面接をしていただいた部長と特別に電話する機会をもらい、そこで心が変わりました。というのも、自分のやりたいことが本当にできるのか、その電話で実際の仕事内容や取引会社のことまで聞くことができたんです。さらに、今後どういった能力を伸ばしていけるかもイメージできたので、その会社に決めることにしました。

インフラ系企業内定者Cさん:
個人的に海外駐在ができる会社を目指していたので、それが叶う場所だったことです。また、オンライン面接で若手人事と会話をした時に、とてもフレンドリーだったのも好印象でしたね。

外資系企業内定者Dさん:
私の就活の軸が「凄いと思える企業に入る」ことだったので、その判断基準で最終的に会社を絞りました。また、その他にも仕事の面白さやオンライン飲み会で同期と関わり、雰囲気が良かった点も決め手になりましたね。

内定者フォローで求めていることは、入社後をイメージできる情報

内定後のフォローについて効果的だったことや、こんな機会や情報があると嬉しいといったことをお伺いしたいです。

メーカー系企業文系内定者Aさん:
私としては、もっと現場社員と話せる機会があるといいですね。面接官として現場の方もいらっしゃったので、全く話す機会がなかったというわけではありませんが、選考中の逆質問では選考結果を気にしていて自分が知りたいことを全部聞くことができなかったんです。

メーカー系企業理系内定者Bさん:
新卒入社同期のほとんどが院卒の学生ですが、私は学部卒のためそのギャップを埋める学習指導があると勉強するモチベーションになると思っています。

インフラ系企業内定者Cさん:
同期にどんな人がいるのかが気になっていたので、オンライン懇親会を通してどのようなキャラクターの同期がいるのかが分かったのは助かりました。野球をずっとやっていた体育会系な私と、馬の合いそうな人がいてよかったと思っています。

外資系企業内定者Dさん:
同期との関わり方もそうですが、これからどんな仕事をして未来にどうつながるのか、ビジョンを見せてもらえた部分は参考になりましたね。

22卒採用で“リアル”な情報をどうやって伝えるのか

22卒への採用活動に関して、皆さんの就活の実体験から、どのように学生と接点を取っていくのがよいと思いますか?

メーカー系企業文系内定者Aさん:
SNSは接点を取りやすいですが、いい部分も悪い部分もあると思います。Twitterでは、メルマガのように企業の情報を発信しているものと、人事個人が持つ考えや価値観を発信しているアカウントが見られました。
後者を見て「一緒に働きたい」と思うこともありましたが、「こんな考えを押し付けるんだ」とマイナスに感じることもあったので、Twitterの使い方ひとつで学生からの評価が分かれるかもしれません。

メーカー系企業理系内定者Bさん:
国立の理系学生は外に出たがらないので、学科や研究室単位で会社説明会を行うといいと思います。直接社員と話せれば、学生が持つ企業への印象が変わると思います。また、たとえば「企業の生産ライン」といったコアな技術の情報をSNSなどで発信するだけでも、見る人が見れば興味を持つと思いますね。

SNSの活用にも賛否が分かれるのですね。Cさん、Dさんはご自身の体験からいかがですか?

インフラ系企業内定者Cさん:
やはり先輩からの紹介は効果が大きいと思います。私自身、出身高校の部活のOB名簿でOBの方々の働かれている会社や連絡先をみて、先輩にコンタクトを取りました。そこから会社や仕事の話などを聞いて、今の業界が第一志望になったんです。そこで働きたいイメージを持つことができたので、オンラインの就活でもあまり迷うことはありませんでした

外資系企業内定者Dさん:
学生に対して、その会社に入ることで「明るい未来がある」という希望を見せるだけでもいいと思います。学生は正直、会社のことは何も分からないので。「入社することでこんな希望を抱ける」という部分を、採用活動で見せるべきだと思います。

Cさんから「先輩の紹介」がきっかけになるとお話ありましたが、今後後輩の就活相談にはのりますか?また、そのとき内定先を紹介することはあるのでしょうか。

メーカー系企業文系内定者Aさん:
内定した会社でなくてもインターン先を紹介するときなどは、後輩にとってメリットがあるかは重要だと思います。たとえば、私が紹介することで紹介者のみで行うインターンに参加できる、選考がスキップになる、などがあれば教えています。例年、インターン学生からしか採用しない企業の情報なども伝えていますね。

また、「“名物人事”がいるから、会ってみたらいいかも」と内定者同士で話題になることもありますし、インターンで宿泊費や交通費が出たり、ランチが充実している会社もクチコミで広まります(笑)。

メーカー系企業理系内定者Bさん:
内定先を紹介するときもありますが、いい部分と悪い部分を正直に伝えて、後輩に判断してもらうのが一番だと思います。後輩には、その会社の知名度や周りの反応、そして福利厚生のことは話していますね。
働く環境に関しても、自分の内定先ではないですが、労働時間の概念がなく朝から晩まで研究し続けている企業の噂は聞くので、そういったことは伝えるようにしています。

インフラ系企業内定者Cさん:
LINEで後輩から就活相談を受けることはあります。その際に、自分と似ていると感じたり、本人が興味を持っていたら内定先を紹介します。後輩からは企業の絞り方やインターンにどれだけ参加したかなどをよく聞かれますね。

外資系企業内定者Dさん:
私の場合は、内定先をオススメすることはありません。ただし、本人が聞きたければ、どうやって内定を獲得したかなどを説明しています。

編集後記

コロナ禍によって就活生の取り巻く環境は、ますます厳しいものとなっています。そうした環境下で内定者が求めているのは、「企業の真摯な対応」や「正確な情報」なのでしょう。オンラインでのコミュニケーションだけでは不安がある中、企業と内定者がお互いに信頼関係を築いて、“リアル”な情報を継続的に届ける必要性を感じました。

内定を出して終わりではなく、内定後もリアルな情報を伝えてファンになってもらうことが重要です。「MyRefer Campus(マイリファーキャンパス)」では、内定者がアプリや専用ページに登録することで会社からのニュースや人事とのチャットができるようになります。

また会社のインターンの案内やエントリ情報などをSNSで簡単に後輩に送ることができるようになるので、後輩から相談を受けたときに「うち受けてみる?」と紹介してもらい、求める学生との“出会いのきっかけ”を作ることができます。オンライン化が進む就職活動の中でも生々しい情報を求める学生に対して、内定者からのリアルなクチコミを届けてもらうことを試してみてはいかがでしょうか。

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