クレドとは?意味や導入メリットは?作成方法や注意点をご紹介

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目次

  • クレドとは?
  • クレドに関する有名な事例
  • クレドが近年注目されるようになった背景
  • 「クレド」と類似用語との違い
  • クレド導入のメリットは?
  • クレドの導入・作成手順
  • クレドの導入・作成における3つの注意点
  • 大企業からベンチャー企業まで、クレドを採用する企業が多数

クレドとは、「信条」や「指針」を表す言葉です。
近年、クレドを導入する企業が増えていますが、どのような背景があるのでしょうか。
また、類似用語である「ミッション」「ビジョン」「バリュー」とは何が違い、クレド導入にはどんなメリットがあるのでしょうか。クレド作成・導入の手順と、注意点についても解説します。

クレドとは?

クレドとは、ラテン語で「信条」「志」「約束」を意味する「Credo」が語源で、企業活動の基となる価値観・行動指針を示した言葉です。企業の存在意義や価値を表した抽象的な表現である企業理念に対して、クレドはさらに具体的且つ実践的であることが特徴です。ただ掲げるだけではなく、社内に浸透させるために従業員の行動に基づく”基準”や”指標”として設定されます。

クレドに関する有名な事例


クレドの歴史は古く、1943年にアメリカの大手製薬会社、ジョンソン・エンド・ジョンソンによって初めて策定されたものにまで遡ります。
※同社のクレドは「我が信条(Our Credo)」と呼ばれています。

ここでは、世界中にクレドが広がったきっかけである同社における事件と、その危機対応を紹介します。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの「タイレノール事件」

1982年、同社で第三者による毒物混入事件の「タイレノール事件」が発生し、薬品を服薬していた方が次々に亡くなりました。この事件を機に、ジョンソン・エンド・ジョンソンは世間からの信用を一気に落としかねない状況へと追い込まれたのです。

しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンに浸透していた「我が信条(Our Credo)」内にある「消費者の命を守る」に基づき、同社は直ちに「全製品の製造・販売の中止」を行いました。“すべては顧客のために”という考えのもと、通報を受けてから対応を取るまでに一時間かからなかったといわれています。
事件発覚時は外部からの毒物混入という理由が分からなかったにも関わらず、テレビや新聞などのあらゆるメディアを使用し、全商品の回収を呼びかけ、実に3,100万瓶を回収しました。また、事件の調査機関を積極的に受け入れて、薬品製法や企業秘密を公開するに等しい調査を受け入れたのです。後の調査で、第三者により意図的に毒物が混入されたものだと判明し、同社は外部からの異物を防ぐパッケージの改良などもを行いました。
上記のような迅速な危機対応を行ったことにより、ジョンソン・エンド・ジョンソンは「消費者第一の企業」だと世間のイメージを高めました。

全社存続の危機となるような事件だったにもかかわらず、同社が定めていた「我が信条(Our Credo)」クレドを基に行動し、上記のような顧客に対する誠実な対応のおかげで、ジョンソン・エンド・ジョンソンは社会からの尊敬と顧客からの信頼を集めることができたのです。この事件で同社はビジネス史上最も優れた危機対応を行ったと言われています。このような危機管理に対する理想的な対応の形を取り入れようと、クレドの概念は世界中の企業に広がりました。

出典:我が信条(Our Credo)にまつわるエピソード(ジョンソン・エンド・ジョンソン)https://www.jnj.co.jp/about-jnj/our-credo

クレドが近年注目されるようになった背景

クレドが近年注目されるようになった背景に、多数の企業の不祥事があります。
近年、企業に属する従業員のモラルを欠いた行動により、SNSでの炎上が相次いでいます。問題が起きた企業は、不買運動や取引停止などによる売上減少から、経営破綻しているケースもあります。
このように、企業や従業員のモラルが改めて社会の中で重要視されるようになっている背景から、信条や指針を具体的に示すことができるクレドが注目されているのです。

「クレド」と類似用語との違い

「クレド」のほかに、企業が掲げる言葉に「ミッション」「ビジョン」「バリュー」があります。これらとクレドはどのような違いがあるのでしょうか?

Mission(ミッション)

「ミッション」とは、任務や使命のことです。
企業においては、現在の事業を行っているのはなぜか、どのようなサービスを提供したいのか、という問いかけへのアンサーを「ミッション」といってもいいでしょう。いわば、企業活動によりどんな社会を実現するかを表しています。

【例】googleの「ミッション」

“ 「Organize the world’s information and make it universally accessible and useful(Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすることです。)」”

引用:Googleについて(Google)
https://about.google/intl/ja/

Vision(ビジョン)

「ビジョン」とは、企業が理想としている目標を示したもので、今行っている企業活動を継続していくことで、どのような未来を実現していくべきかを描いたものです。
ビジョンは経営状態や時代にあわせて変化するもので、そのときに適したものを策定していきます。

【例】LINEの「ビジョン」

“Life on LINE
私たちのビジョンは、24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラになることです。”

引用:LINEの企業理念(LINE株式会社)
https://linecorp.com/ja/company/mission

Value(バリュー)

「バリュー」とは、価値観や価値の基準のことです。ビジョンの実現のために、どのような行動をせねばならないのかが定められています。

【例】ファーストリテイリングの「バリュー」

“「お客様の立場に立脚」
「革新と挑戦」
「個の尊重、会社と個人の成長」
「正しさへのこだわり」」”

引用:FAST RETAILING WAY FRグループ企業理念(株式会社ファーストリテイリング)https://www.fastretailing.com/jp/about/frway/

クレド導入のメリットは?

それでは、従業員の行動指針であるクレドを企業が導入すると、どんなメリットがあるのでしょうか?

エンゲージメント・モチベーション向上につながる

クレドは、上層部のみの意見だけでなく、従業員全員が意見のすり合わせをしたことによって生み出されるものであり、企業に属する全員の意見を集約したクレドを従業員に浸透させることで、従業員は「自分は企業の一部だ」という認識を持つことができます。

その結果、従業員に対して、企業への帰属意識を高めることができ、「チームのために自分はなにができるのだろう」と、より思考し、自発的に業務に取り組んでいく従業員が増えていきます。

従業員内で規範に対する共通認識ができる

企業理念や経営理念を掲げている企業は多いですが、それらは一般的にとても抽象的な言葉が使われているものです。そこで会社としての「クレド=行動指針」を定め、社内で周知させることで、従業員全員が企業としてのあるべき姿を実現するためにどのように行動したらよいのか理解することができるでしょう。クレドは、企業理念よりも具体的な言葉が使われることが多いため、従業員にとって理解しやすく従業員同士が会社にとって正しい行動をしているのか常に判断できるようになります。

人材を継続的に育てられる

クレドを作成し、在籍する社員全員にクレドの周知徹底を行うことで、経営層だけではなく従業員全員に共通認識を持たせることが可能です。クレドがあることで従業員が業務にあたる上で軸として考えるべき指針がわかります。企業の指針に沿った行動を日常的にとれる社員が増え、企業が求める人材の育成につながるでしょう。

コンプライアンス(法令遵守)の強化

コンプライアンス(法令遵守)を念頭に置いたクレドを作成し、従業員一人ひとりの行動指針を徹底させることで、従業員は倫理観や公序良俗に従いながら業務を行うことができます。企業が一丸となり守るべき規範をクレドによって定めることで、企業全体でコンプライアンスを遵守でき、知らずのうちに法律に触れる行動をしてしまう従業員を未然に防げます。

クレドの導入・作成手順


クレドは企業によって様々ですが、クレドを作成するためには、どのような手順を踏んでいく必要があるでしょうか。基本的な手順を下記で説明します。

プロジェクトチームを編成する

まずクレド作成のためのプロジェクトチームを作ります。このとき、経営陣だけでなく、管理職や一般社員もメンバーに入れるようにして編成しましょう。こうすることで、経営陣と現場の考えに沿ったクレドを作成することにつながります。
プロジェクトチームができたら、クレドを何のために作るのか、いつまでのスケジュールで作るのかなど、目標と計画を立てます。

経営陣と従業員へヒアリング

クレドは経営理念などを具体的な行動指針として落とし込んだものです。
そのため経営陣に対してどのような経営理念があるのか、ヒアリングを行うステップが必要です。またクレドを実行するのは従業員なので、従業員たちが企業に対してどのように考えているか、アンケート等で聞き取りを行うことも重要です。

文章の作成

経営陣と社員からヒアリングした内容をもとに文章化します。
クレドはすべての従業員の指針となるものなので、文章にする際は、凝った表現やわかりにくい表現は控え、短く簡単な言葉を使うように心がけましょう。
業務を行うときに、誰もがイメージしやすく判断の基準として繰り返し読めるような、わかりやすいシンプルなクレドが望ましいでしょう。

フィードバックを得る

作った文章を経営陣や社員に確認しどのように感じるか、フィードバックをもらいましょう。経営陣が意図することや社員の考えとズレがないかなどを確認。必要に応じて文章を修正し、再びフィードバックをもらうという工程を繰り返し、最終的なクレドを完成させましょう。

社内広報(認知活動)

クレドを作成する目的は、従業員が”基準”や”指標”として認識し行動が変わることです。
作成して終わりではなく、従業員がクレドの意味を深く理解し行動が変わるまで社内広報活動や認知活動を行うことが必要になります。
様々なチャネル(手段)から定期的(量)に発信を行うことで従業員の理解を促進させましょう。

クレドの導入・作成における3つの注意点

クレドを作成する際、気を付けるべき3つの注意点をご紹介します。

  • 従業員の意見を聞く
  • 非現実的なことを盛り込まない
  • クレド作成の目的を社員に共有する

従業員の意見を聞く

クレドは従業員の行動指針であるため、企業側から従業員に押し付けるようなものでは、なかなか浸透しません。従業員がクレドについて理解し、それを納得した上で行動に移せるようにするためには、クレドの作成時に従業員の意見に耳を傾けることが大切です。従業員にアンケートをとったり、代表する社員を集めて意見交換を行ったりすることで、クレドに対して従業員全員が「一緒に作ったもの」という意識が芽生えるように作成しましょう。

非現実的なことを盛り込まない

クレドは、従業員が実際に取り組むことができる内容でなければ意味がありません。
その企業が行っていることと矛盾する内容や、高すぎる理想、非現実的な内容を盛り込むと、従業員のモチベーションダウンや企業のイメージ悪化になる可能性があります。

クレド作成の目的を社員に共有する

クレドを作成し従業員に浸透していくためにも、なぜクレドを作る必要があるのか、クレドを作ることでどのような成果を期待しているのか、という出発点について、社内で共有しましょう。経営陣や社内の一部の人間だけで作るのではなく、社内の全員で作っているという意識を持たせることが、クレドを導入して成功するためのポイントです。

大企業からベンチャー企業まで、クレドを採用する企業が多数

社内全員の考えや行動の模範となるクレド。経営理念などと違って、わかりやすい言葉で示されているため、従業員にとっても理解しやすくモチベーションアップにつながると期待できます。大企業をはじめ、ベンチャー企業など、企業の規模を問わずクレドを導入するケースが増えているのは、多くのメリットがあるからでしょう。ここで紹介したクレドの目的やメリット、導入の手順などを参考にして、クレドの導入を検討してはいかがでしょうか。

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