採用広報の重要性とは?施策を進める流れやポイントを解説

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年々激化する採用市場において「採用広報」という手法が注目を集めています。

自社に合う優秀な人材を集めるために、従来の媒体や人材紹介を中心とした「待つ・受動的」な採用から、企業自ら採用活動について認知を広げ応募や意向醸成につなげる「動く・能動的」な採用に変革させるべく、今では採用において必要不可欠な考え方になってきています。

本記事では採用広報について、その考え方からメリット、実施する際のポイントまで解説いたします。

目次

  1. 採用広報とは
  2. 採用広報の担当者とは
  3. 採用広報が注目される背景
  4. 採用広報を行うメリット・効果とは
  5. 採用広報にはどんな手法(媒体)があるのか
  6. 採用広報の成功事例
  7. 採用広報の進め方
  8. 採用広報を実施する際のポイント
  9. まとめ

採用広報とは

「採用広報」とは、企業によっては採用マーケティングと言われることもある手法の一つで、企業が求職者に自社を就職先・転職先として検討してもらい応募・採用に繋げるための広報活動です。

労働人口の減少により昨今は求職者有利な売り手市場になっており、また、求人サイトの乱立やその他人材系サービスの台頭により情報量が急増しており、求人情報を媒体に掲載するような待ちの採用手法では採用が難しくなってきています。

採用広報は自社で働くことのメリットや働いた時のイメージを求職者に伝え、自社を選択してもらう「理由」を作り・伝えていくものになります。

採用広報の担当者とは

採用広報担当者のミッションは、自社の採用活動において、どのユーザーに対して(ターゲティング)どんなメッセージを(訴求内容)どの媒体で(配信先)届けるのか。設計・実施をしていくことが求められています。

特にターゲットの応募獲得から選考~入社プロセスのデザインという今までのリクルーティング活動だけでなく、自社の認知や理解を促進するための採用ブランディング活動から、共感、興味喚起を促す情報コンテンツの作成や配信を行って、採用ターゲットとコミュニケーションを設計していき、母集団の増加や応募者の質の向上、選考の歩留まり改善を目標に施策実行していくことになります。

採用広報が注目される背景

求職者への早期接点を創出し意向醸成する必要がでてきた

求職者が触れる採用情報・企業情報が増え、また、転職(就職)に関する手法やノウハウがあふれていることにより求職者のリテラシーが高くなっており、採用媒体に掲載するだけでは応募が集まらない企業が増えています。
特に、ミレニアル世代・Z世代といった若手は転職(就職)に関するリテラシーが年々高くなっており、「なぜこの業界で働くのか?」「なぜこの企業で働くのか?」といった明確な答えをもって転職(就職)活動をすることが増えています。
つまり、「仕事を変えたくて転職活動するのではなく、入社したい企業があるから転職する」という人が増えてきているのです。

求職者が透明性の高い情報を求めている

前述の通り、求職者が触れる採用情報・企業情報が増えており、口コミサイトや比較サイト、OBOG訪問アプリ等から容易に現場の情報を収集できるようになってきました。
もはや採用媒体に記載のあるようなテンプレ的な情報は企業選定において役割を失っており、求職者が欲している現場の生の声が反映されている情報を発信する必要が出てきたのです。

デジタルメディアの発達

情報を届けるメディアが多様化してきていることも採用広報が注目される背景の一つだと考えられるでしょう。
現代では、オウンドメディアやTwitter、Facebook、YouTubeなど採用広報として発信したい内容を届けることができる手段が増え、さまざまな方法で求職者と接点を持つことができるようになりました。
求職者との早期接点を多く作ることで将来的な採用母集団形成をしようと、各企業が攻略を始めました。

採用広報を行うメリット・効果とは

ミスマッチの回避、本質的なマッチングができる

企業の職場風景や現場社員の仕事風景、また風土や働き方など、なかなか伝わりづらい現場の「生の声」や会社が大切にしているカルチャーやビジョンを届けることは、企業の求める人材に対して自社のありのままの姿を共感・理解をしてもらうことにつながります。

カルチャーマッチした人材が自然と集まり、採用候補者と透明性の高い関係性構築をすることで入社後の定着と活躍、マッチング率の向上を図れることが採用広報活動の最大のメリットです。

ミスマッチとは?採用におけるミスマッチの原因と対策をご紹介

既存の採用チャネルの効率UPが見込める

採用候補者は企業から発信された情報コンテンツを通して企業の認知・理解・共感を促進することができます。ビジネスモデルや求めている人物像、自社のカルチャーを理解する求職者が増えることは、既存の採用チャネルにもシナジーが生まれ、応募率向上や面接進捗率の向上などの効率アップを図ることができます。

例えば、面談・面接前に候補者により深く自社の情報を知ってもらったり、事業競合と採用バッティングしている候補者に対して自社の魅力や競合との差別化できるポイントをアピールしたりして候補者の意向醸成を図ることができるでしょう。また、まだ自社を知らない転職潜在層への企業認知を促すこともできるため、中長期的な視点で見ても非常に有効な手法だと考えられます。

採用コストを下げることができる

自社のビジョンやカルチャーに共感し競合優位性を理解している候補者が増えることで、選考の進捗率が改善され、入社決定率は向上していくでしょう。

採用担当者や採用広報の担当者にとっては、当期の入社目標人数を達成させるために、必要な母集団獲得のためにいくつもの採用チャネルを運用しなければならないという思考から解放されるため、運用すべき採用チャネルを絞るなど、各種採用活動における投資活動や人事運用工数(人件費)の削減につながります。入社後の定着率も向上していくことで、退職者の補填採用コストや、補填採用にかける人事のオペレーションコストも削減することが可能です。
自社のメディアや、SNS経由の入社決定割合も増加することで、採用媒体の掲載費やエージェントへの報酬を節約することもできるでしょう。

採用広報にはどんな手法(媒体)があるのか

採用広報を行う際に利用できるメディアやツールは様々ですが、自社HPに加え、FacebookやTwitterといったSNSやWantedlyなどのビジネスSNSがメインとなります。各媒体の特徴をよく理解して企業の状況に合わせて最適な媒体を選定しましょう。

SNS

・Facebook 2,600万MAU

実名制であり、世界最大のユーザー数を誇るSNSです。
国内では主にビジネスパーソンを中心に使用されており、30代の約半数に利用されています。役に立つ情報、トリビアなどの知識欲を刺激するような情報発信に反応が高い傾向にあり、採用広報においても知識欲を刺激するような投稿や比較的フォーマルな投稿が合う媒体となっています。

・Twitter 4,500万MAU

短文・リアルタイムでのコミュニケーションを特徴とするSNSです。
ユーザー層は幅広く、平均年齢は35歳。なかでも若年層の利用率は高く、10~20代の約7割が利用しているメディアとなっています。採用広報において、リアルタイム性という特徴を活かしこの瞬間だからこそ投稿できる内容や、時流に乗った内容のツイート、比較的ライトな内容の投稿に向いている媒体となっています。

・Instagram 3,300万MAU

写真や動画をメインとするビジュアルコミュニケーションが特徴のSNSです。
ユーザー数は年々増加しており、10~20代が半数以上を占めます。ストーリーズやIGTV、2020年にリリースされたリールなど、Instagramでのコミュニケーションの幅は年々広がっている媒体です。Instagramの強みは、画像や動画をメインとしたコンテンツで視覚的にメッセージを伝えることができるため、ブランドの世界観を表現しやすいことにあります。視覚的に訴求しやすい商品やアイコンを持っている企業であれば親和性の高い媒体だと言えるでしょう。

ビジネスSNS

・Wantedly

共感で人や企業とつながるためのビジネスSNSです。
「社風や方針、共に働く社員を知り、その活動に興味を持った求職者に応募してもらう」というコンセプトがあり、社員紹介を行う「メンバー」や会社設立のエピソードや入社の経緯などを行う「ストーリー」など採用広報に適したメニューが複数ある媒体になります。

・LinkedIn

世界200カ国以上、6億人以上のユーザー数を有しているビジネスSNSです。
世界では非常に普及しており採用活動において重要な媒体となっているLinkedInですが、日本では200万人程度の登録数に留まっており普及率は他媒体対比では非常に低い状況です。Wantedlyと比べるとハイクラス人材やグローバル人材が中心でより優秀な即戦力を採用したい企業様にとっては非常に有用な媒体となります。

採用広報の成功事例

採用広報で成功している企業(事例)とは一体どのようなものなのでしょうか?

Amazon

https://www.facebook.com/AmazonJapanCareer/
2021年8月現在、フォロワー数約19万6,000人
Amazonで実際に働いている人々にフォーカスした投稿が多いのが特徴です。様々な部署で働く多数の社員の紹介やインタビューが投稿されており、社内の雰囲気が伝わりやすくなっています。親しみの持てる雰囲気で「この企業で働きたい」という感想を抱きやすいよう効果的に演出されているのが印象的です。

SHARP

https://twitter.com/SHARP_JP
2021年8月現在、フォロワー数約82万3,000人
自社商品の宣伝だけでなく、ユーザーとのコミュニケーションやネットで話題になった出来事をツイートに絡めるなど、宣伝・広告に重きを置いている企業アカウントが多い中、特にフレンドリーで親しみの持てるツイートが特徴的なアカウントです。過去には「中の人」をイメージして作られたLINEスタンプや漫画が製作されました。

Team Lab

https://www.instagram.com/teamlab/
2021年8月現在、フォロワー数約26万3,100人
自社のデジタルアートをメインに配信しており、team Labならではのユニークなコンテンツを疑似体験できるアカウントになっています。比日常的なアートに触れることで、リアルの店舗への誘導を促すと共に採用広報観点でも大きなブランディングの効果を生み出しています。

採用広報の進め方

ターゲティング:採用ターゲット設定

まず一番大事なのが、採用ターゲットを明確にすることです。どんな人を採用したいのか、合否の基準は何なのか、詳細に定義することが重要です。また、併せて候補者ペルソナの設定も行いましょう。どんな企業に在籍していて、どんな経験を持っていて、どんなことに興味を持っているのかなど、設定することで採用したい人物像を明確にしましょう。

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訴求内容:自社の魅力を言語化する

自社の魅力は何か?採用ターゲットに対して魅力的に感じてもらえる部分はどこか?
これが分かっていないと採用広報はうまくいきません。「テクニカルスキルの高い人が多い」「福利厚生が充実している」「社員の仲が良く風通しが良い」など、自社の魅力≒訴求内容を整理して採用ターゲットに響く情報を言語化し提供することで自社のファンを作っていきましょう。

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見せ方:媒体選定・発信内容、方法選定

ターゲティングと訴求内容が決定したらどのように情報を届けるか検討しましょう。ターゲットはどの媒体をよく使っているか、届けるための手段は画像や動画は何を使用するのか?相手が情報を受け取る状態を考え理想の状況にできるだけ近い状況を作るようにしましょう。

採用広報を実施する際のポイント

自社のビジネスの本質を伝えられているか?

自社の提供しているサービスをそのまま説明しても「ビジネスの本質」を伝えられるとは限りません。ビジネスの本質を伝えるためには、自社が社会にどのような価値を提供しているのか、どのような社会の課題を解決しているのかを、ビジョンやミッションに絡めて伝えることが大切です。

求める人物像や採用ポジションを理解してもらえているか?

採用条件や一般的な業務内容を記載するだけでは伝えきることはできません。
社員の体験談やリアルな様子を掲載・発信することで、現状の社員や仕事内容を理解してもらい、求める人物像やポジションに求めることを伝えることができます。

仕事のやりがいを伝えられているか?

「裁量が大きい」「チャレンジングな目標設定」「新しい仕事を任せてもらえる」など仕事のやりがいは人それぞれですが、対象のポジションでどういったやりがいを感じることができるのか、実例を踏まえて伝えることが重要です。

該当ポジションのメンバーへインタビューを実施し、具体的にどのくらい裁量があったのか、どういう時に達成感を感じられているかなど、より具体的な数字や状況を記載・紹介することで理解が深まり、現場のリアルな声を届け、やりがいを伝えていくことが非常に重要です。

まとめ

売り手市場の今、受け身の採用手法だけで優秀な人材を獲得するのは難しくなってきています。
採用広報のように能動的に情報を発信し自社を理解してもらい、自社の求める方からより多くの応募を集められるように活動していきましょう。
採用広報は転職サイトや人材紹介などのようにすぐに結果が出るものではありませんが、地道な採用広報活動が応募数やマッチ度向上へとつながっていきます。