リファラル採用制度をつくる企業のためのKPI設計、タスク整理やインセンティブ規定

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リファラル採用の導入を検討するにあたり、まずは制度の設計から手を付ける企業様が多いのではないでしょうか。本ページでは、成功するためのリファラル採用の始め方について、その設計部分を解説し、皆様がリファラル採用を継続的に成功に導くために気を付けるべきポイントをまとめました。

リファラル採用の報酬(インセンティブ)設計方法
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リファラル採用(友人紹介採用)とは?

リファラル採用とは、社員に人材を紹介してもらう採用手法のことです。人材エージェントや求人広告などの外部データを使わない、『信頼できる社員からの紹介による採用手法」であるがゆえに、自社の採用競合との競争を避け、優秀な人材を、低予算でスピーディに採用ができる手法として注目を集めています。
欧米では社員採用で重要な役割を果たしており、日本でも2020年の調査において60%以上の企業がリファラル採用を実施しているというデータが有り、自社の主要採用チャネルの1つとして検討されている手法です。また、所属している企業の魅力を友人に語ることが、社員自身のエンゲージメントを高めることに相関するという期待も込めて、運用を開始される企業が増加しています。

持続可能なリファラル採用を実現させるために

リファラル採用制度の設計=インセンティブ金額を決めること、だけではありません。
多くの企業がインセンティブのみを設計した上でリファラル採用をはじめていますが、その90%以上が、制度が形骸化してしまい、リファラル採用が進まないという状況に陥ってしまっています。

社内での禁止事項や業務との棲み分けから、社員への展開方法や継続的な紹介を生み出す周知施策の策定、社員フォロー体制の構築、活動データ取得と効果検証など、自社のリファラルプロジェクトを成功させるためのPDCAの過程すべてが制度設計となります。その上で、自社に合った「制度」「運用フロー」「KGI・KPI設計」を一気通貫で設計していくことが重要と考えています。

※自社のリファラルプロジェクトを成功させるためのPDCAの過程すべてが制度設計

社員がお勧めしたくなる組織の状態目標は

これからリファラル採用を取り組まれる企業様にとって、まずは自社の社員に対して、リファラル採用の取り組みを行っている事実が認知されており、採用部門から定期的な社内周知ができている状態を目指さなければなりません。
ある程度社内で認知されてくると、積極的な社員が当事者意識を持って採用に関与していき、自社をおすすめしてくれる状態になってくるでしょう。

リファラル採用に積極的な社員と消極(受動)的な社員の活動が可視化できると、効果的に社員を活性化させるための施策が打つことが可能となります。
施策の成功によって、消極(受動)的な社員も当事者意識を持って自社の情報をキャッチアップし機会があれば自社をおすすめしてくれるようになり、自然と社員が仲間をつれてくる状態を目指せるようになります。

とはいえ、会社とつながる社員が自発的に会社をおすすめしたくなる組織づくりは、一朝一夕で実現することは難しいでしょう。本記事ではいくつかのSTEPに分けて制度作りの方法を説明します。

リファラル制度や社員へのルール制定

制度設計については、社内でリファラル採用に取り組む意義づけを整理し、応募獲得時や入社定着時のインセンティブ、会食費支給の有無はもちろん、取引先やパートナー企業への声掛けルールや守秘義務などを制定し、社員へ周知するする企業様もいらっしゃいます。リファラル採用における制度設計は、社内承認や法令遵守のためのリーガル調整、場合によっては労働組合との調整が必要になるケースもあり、想定以上に時間や手間をとられぬよう、TODOやスケジュールを整理しておくことをおすすめします。


※制度設計のためのタスクの一例

運用フロー設計

社員が自然とおすすめしてくれるリファラル採用制度を運用するためには、単なる制度の認知施策としての「イントラネットでの掲載」や「会議での告知」を行うだけでなく、「どういう情報を」「誰を対象に」「どうやって」伝えるかを検討する事が重要です。また、その先の紹介フロー(社員の負担をどう減らし、紹介しやすくするか)や選考フロー(通常の選考から変更するのか、紹介社員を選考に入れない仕組みをどう構築するか)なども同時に考える必要があります。

一過性の施策ではなく自社の友人紹介制度を文化として定着させるためにも、前述の認知施策だけではなく、継続的に飽きさせない・忘れさせない社内広報施策も検討するごとが大切です。少なくとも半年~1年間先までの社内向けの広報コンテンツを事前にイメージしておくことをお勧めしています。
運用フロー全体の設計は、おおよそ1ヶ月程度を作成の目途とすることが多い印象です。

「制度」「運用フロー」についての詳細な考え方を、こちらの資料内にてまとめておりますので、ご活用ください。

制度・運用フローなどの仕組み化の考え方

大企業において、どのようにリファラル採用を仕組み化すればよいか
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KGI・KPI設計

制度や運用フローを設計することでリファラル採用をスタートさせることは可能ですが、採用部門はより継続的なPDCAを回すためにも事前にKGI・KPIを設計しておくことが重要です。

例えば、リファラル制度において決定数をKGI、応募数のみをKPIと設定して始めるも、応募数が増えない場合を考えてみましょう。KPIを応募数としているが故に、応募以前にそもそも紹介されているのか、応募のハードルが高くないかなどのデータを取る仕組みもないため、何故応募が増えないのかその理由を分析し、特定することが出来ません。結果、本質的な対策が打てず、リファラル採用が形骸化してしまいます。当社TalentXではこのようなケースが非常に多く発生している事を認識しており、このようなケースではまずKGI・KPIの再設計を行い、現状を正しく把握するところから改善を始めることがセオリーとなっています。

人事からの認知施策を通してリファラルの情報が社員一人一人に届いているのか(協力率、認知率)、その上で社員は実際に友人に声を掛けているのか(紹介社員数、一人当たり紹介数)、その結果友人は応募に至っているのか(紹介からの応募率)、応募からは決定しているのか(決定率)など、実際の社員の紹介の流れをイメージしながら、それぞれの段階にてKPIを設定し、計測を行う仕組みを運用開始前に作っておく必要があります。

紹介からの応募率は友人に起因するので、社員によってコントロールできる指標は

  • 協力率、認知率
  • 紹介社員数
  • 一人当たり紹介数
  • 決定率、紹介確度

上記の4つとなります。その中でどのデータをどうやって計測し、どこがボトルネックになっているかを確認できる設計を行い、実際に運用を開始した後にはそれらの指標で健康状態を把握、施策を策定・実行できるように設計することが大切です。この仕組みの設計は2週間程度を目安に行うといいでしょう。

これらの数値は自社の業種や募集を行う職種、雇用形態などによって大きく変動します。採用部門が設計する際は、同業種や同職種などの実績を参考に決めていくことが望ましいと言えます。

リファラル制度設計について、課題を把握するための項目をまとめ、認知はされているものの紹介が増えない際は動機づけの為の意義の共有のコミュニケーション、紹介したいものの紹介がしにくいという場合には紹介障壁を下げるために声の掛け方事例の共有、紹介は有るものの決定率が上がらない場合には選考要件への理解向上を図るべく選考通過基準を社内に共有するなど、前述のKPIの数値を基にした実情に合わせた施策24種をまとめた資料がこちらです。

自社課題の把握チェックシートと対応施策集

リファラル採用を活性化するうえでの24の課題チェックシート
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報酬(インセンティブ)制度設計時のポイントは

2020年の調査によると、リファラル採用を行っている企業のうち、約80%の企業がリファラル制度設計を行っています。
その中でも重要視されがちなインセンティブ設計ですが、実際にはインセンティブ目当てに紹介する社員は11.3%という調査が有ります。紹介者の動機を調査すると、その上位は「ホスピタリティ(友人の力になりたいから)」や「当事者意識」です。
あくまでもインセンティブは目的ではなく、紹介制度周知や、紹介者の賞賛のためのコミュニケーションのきっかけ(手段)として設計する必要があります。

その為、必ずしもインセンティブを入社定着後に現金(給与・賞与)にて支払う制度である必要はありません。インセンティブとして商品券やテーマパークのチケット、ToC企業であれば自社の商品やサービスなどを渡している企業も有ります。また、近年は体験型のギフトなど、「話題性」「拡散性」を意識したインセンティブ設計をする企業も出てきており、実際に効果が出ています。

インセンティブ設計と一言でまとめても、実際には「どの段階で」「いくら」「どのような形態(前述のような給与等の現金や物品など)で」など、その制度の内容は各企業によって様々です。自社でのリファラル採用の位置づけや意義を踏まえ、自然なコミュニケーションになる様に設計することが必要です。

また報酬制度設計については、法令遵守の観点も検討する必要があります。リファラル採用活動と、社員に対する報酬制度を制定するためには、職業安定法第30条、36条、40条や、労働基準法第11条等を考慮しながら自社の制度を検討していくとよいでしょう。

上記の法的な観点を回避する制度設計方法や、業種・職種・雇用形態ごとのインセンティブ設計の設計例など、報酬制度設計についての必要なあらゆる情報をまとめた資料がこちらです。ぜひご活用ください。

制度設計や業種職種別インセンティブ設計例

リファラル採用の報酬制度設計における3つのポイント
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持続可能なリファラル採用のための制度設計とは(まとめ)

持続可能な自社のリファラル採用制度を設計するために、以上のポイントをまとめますと

  • リファラル制度設計はインセンティブだけを決めて運用を始めても形骸化してしまうため、トライアル時から運用や改善を前提とした一気通貫の設計が必要。
  • KGI・KPIは友人紹介時のフローをイメージした上で設計するべきで、施策の健康状態を把握、解決策を策定・実行できるように状況を計測し、分析できるようにしておくことが大事。また、KGI・KPIの目安は採用ターゲットの職種や業界平均、採用競合のリファラル採用実績からを設定することが望ましい。
  • インセンティブ、報酬制度は金額をトリガーにするのではなく、周知や賞賛のきっかけとなるように設計すべき。その上で、法令を守った制度設計が必要。

リファラル採用は採用効率が極めて高いものの、仕組化するまでに工数がかかります。そのため短期ではなく長期の採用戦略と考えるべきでしょう。最初の1~2か月は人事側の負荷があるものの、リファラル採用が軌道に乗ってくれば人事の負荷は下がり決定数は着実に上がっていきます。

自社のリファラル制度設計を進める際、お困りの事がございましたら、お気軽にMyReferまでお問い合わせください。
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