
昨今SNSは人々にとって当たり前の存在となってきていますが、採用活動ではどのように活かせるでしょうか。採用担当者の中にはSNSをどのように活用すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
もちろんSNSの活用にはメリットばかりでなく、SNSならではのリスクもあります。
今回はSNS採用(ソーシャルリクルーティング)におけるSNS活用のメリット・デメリットや注意点、成功させるためのポイントなどを解説していきます。
目次
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは?
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)の概要
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とは、FacebookやTwitter、YouTubeなどSNSを活用して行われる採用活動のことをいいます。
2000年代から徐々に企業でも活用が進みました。
SNSの利用率が高い20代をターゲットに採用をする場合に利用することが多く、主に新卒採用向けに活用されています。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)とダイレクトリクルーティングとの違い
ダイレクトリクルーティングとは、SNSや採用媒体などを通じて企業の採用担当者が求職者に直接アプローチをする採用手法のことをいいます。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)も「求職者に直接アプローチできること」に関しては同じですが、
- SNS採用(ソーシャルリクルーティング) → SNSのみ
- ダイレクトリクルーティング → SNS、採用媒体、タレントプールなど
上記のように活用する媒体の範囲が異なり、ダイレクトリクルーティングはSNS採用(ソーシャルリクルーティング)を内包する意味となります。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)が注目される背景
ミレニアル世代の社会進出による採用市場の変化
2000年以降、インターネット環境が整った頃に育ったミレニアル世代の社会進出によって個人と企業の関係は大きく変化するようになってきました。
ミレニアル世代の人々はパソコンよりもスマートフォンやタブレットを駆使しており、FacebookやInstagram、Twitterを好み、友人とつながる連絡手段としてLINEを活用しています。
今やコミュニケーション手段として、40代以下の世代でSNSとメールの位置づけが逆転しかけている時代(※)が訪れています。
※総務省|平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要
そのため、従来はテレビや新聞といったマスメディアの発信が力を持っていましたが、SNSの発展に伴って個人のメッセージやクチコミが大きなトレンドを生み出すようになりました。企業から個人へパワーシフトが起きているのです。
採用においても同様であり、企業から一方通行の発信をするだけではなく、SNSを活用して個人と双方向にコミュニケーションをとることやクチコミを広げてもらうことが重要になってきました。
実際に、民間企業や特許庁、地方自治体まで採用情報をSNSで発信するようになっており、もはや個人のみならず企業さえSNSと切っても切れない関係の時代に突入しているのです。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を利用するメリット
若年層へのアプローチ
SNS採用において最も効果が期待されるのは新卒採用です。若年層にとってSNSは必須のコミュニケーションツールであり、就職活動においても仲間同士、SNSで情報収集をしています。企業はSNSを介して社員の声などの情報を発信することで学生との距離を縮めることができ、若年層に効果的にアプローチできるといえるでしょう。
情報の拡散力
SNSの根幹である「多数の人と情報を共有する」リツイートやシェア機能は採用活動においても同様に有効です。
たとえば新卒採用のケースであれば就活中の学生が、企業が発信した情報に興味を持ち、「面白い記事があったから見てみなよ」と同じ就活生の仲間にシェアすることで、多くの人に情報を届けることができます。
企業単体からの発信ではリーチできなかった層に対して情報を届ける可能性がある「情報の拡散力」こそSNSを採用活用に利用するメリットの一つになります。
候補者の人柄や経験を知ることができる
SNSでは普段の様子を発信しているケースが多いので、面接という短い時間では把握しきれない候補者の人間性・志向性についての理解を深めることができます。
今や、SNSで発信することが個人のブランディングにつながり、採用のスカウトを受けることが増えてきています。
求職者の発信場所として活用できると共に、企業側は求職者を採用するかどうかの一つの場としてSNSを活用することができるでしょう。
企業のブランディングにつながる
求人広告等で仕事のハード面だけしか打ち出していない企業とSNSで現場の様子等ソフト面を発信している企業では、候補者の企業に対する印象は大きく変わってくるでしょう。
情報が溢れている時代ですからよりリアルな情報が求められており、SNSを活用することに酔った効果的に企業ブランディング・採用ブランディングすることができます。
未来の採用候補者と継続的につながれる
今は転職意思がない人や、就職活動を数年先に控えている学生が企業に興味を持ってくれている場合、SNSを通じて気軽につながり続けてコミュニケーションをとることができます。すぐには採用につながらなくとも、SNSを通じて早期接点を作ることができれば、転職や就職ニーズが生まれた際に効果的にアプローチを実施することができると考えられるでしょう。
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採用コストを抑えられる
SNSには無料で利用できるものが多いです。これは他のメディアにはない強みであり、新たな施策として簡単に取り入れやすいというメリットになります。
採用手法の一つとして、SNS採用(ソーシャルリクルーティング)から実施してみるのもよいのではないでしょうか。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を利用するデメリット
前項でSNS採用(ソーシャルリクルーティング)のメリットについて解説しましたが、もちろんデメリットもあります。
工数が大きくかかる
SNSの運用には非常に大きなパワーが必要です。SNSは新着情報から表示されていきますからコンテンツの更新頻度が下がるとすぐに埋もれてしまいます。多くの注目を集めるためには頻繁に更新する必要があるのです。
さらに企業が情報を一方的に発信する求人広告と違い、SNSは双方向のコミュニケーションなのでレスポンスや連絡があった際には対応する必要もあります。すぐに対応しないとマイナスイメージが拡散されてしまう可能性もあるので企業にとってリスクといえるでしょう。ただでさえ忙しい採用担当者にとって工数の増大は大きなデメリットになりえます。
ネットリテラシーが必要
SNSを通じてコミュニケーションする際には炎上するリスクを考慮したうえで内容を考える必要があります。不特定多数の人に接点があるSNSでは、注意していても投稿が意図せず炎上する可能性もあり、せっかく工数をかけて実施した施策が結果的にマイナスになってしまうことも考えられます。
社内のSNSガイドラインなどに沿って炎上リスクを避けつつ良いコンテンツを届けられるようにしましょう。
コンテンツに魅力が無いと効果が出ない
単純にコンテンツを更新し続ければ効果が出るわけではなく、業界の情報や企業の魅力、現場のリアルな声などユーザーの興味を引くようなコンテンツを発信していかなければなりません。
質の低いコンテンツは逆に採用候補者から見て企業の評価が下がることにもつながってしまいますので、内容に関しては熟考し決定することがよいでしょう。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)で期待できる3つの効果
採用担当者がSNS採用(ソーシャルリクルーティング)を利用することで、採用面にどんな効果が期待できるのでしょうか?
下記項目において大きな効果が期待できます。
- ブランディング、認知度UP
- 採用母集団の形成(転職・就職潜在層へのアプローチ)
- 歩留まりの改善(ミスマッチ・アンマッチの防止)
求人サイトや人材紹介など従来の採用手法とは違い、母集団形成やブランディング観点など、SNSの使い方次第であらゆる効果が期待できるでしょう。しかし、運用次第では様々な効果が生まれる可能性があるからこそ、何を「目的」として実施するのか明確にして進めていかなければなりません。そして、その「目的」に合わせて適切な媒体や訴求を考え実行することが必要になってくるのです。
次の章では各SNSの特徴や事例を紹介しております。是非媒体を選ぶ際の参考にしてください。
メディア別にみるSNS採用(ソーシャルリクルーティング)の手法と事例
ここまでSNSのメリット・デメリットについてお伝えしてきましたが、続いてメディア別にSNSを活用した採用、ソーシャルリクルーティングの手法と事例をご紹介します。
Facebookは国内約2,600万人に利用されており、年代別では30代が最も多く利用していて、30代の約半分がFacebookを利用しています。
Facebookのメリットは原則実名登録という情報の信頼性です。
活用している企業は採用専用ページを立ち上げて情報を発信しています。
Twitterは国内約4,500万人に利用されており、年代別では20代が最も多く利用していて、20代の約8割がTwitterを利用しています。
Twitterの強みは拡散力による話題性です。運用者が魅力的なキャラクターをつくり個性的な投稿をすることで話題性を呼び込めます。採用活動では本音でリアルな情報の発信や専門的な情報を発信することで親和性の高い候補者集めに向いています。ただ話題性が高い分炎上リスクも高いので運用には細心の注意が必要です。
Instagramは国内約3,300万人に利用されており、年代別では10代が最も多く利用していて、10代の約7割がInstagramを利用しています。
Instagramのメリットは写真や動画を活用し、企業の魅力を視覚的に訴求できる点です。そのため採用に限らず企業のブランディングを行うのに適しています。
LINE
LINEは国内約9,000万人に利用されており、全ての年代で幅広く利用されています。10代~40代の約95%が利用しており、日本で最も利用されているSNSになります。
LINEはもはや国内では当然のコミュニケーションツールとなりました。LINE@(LINE公式アカウントと統合)を活用することで情報発信やコミュニケーションができます。また新卒採用に特化したLINE採用コネクトというサービスもあります。
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を成功させるための4つのポイント
ここまでSNS採用(ソーシャルリクルーティング)の概要からメリット・デメリット、事例などをご紹介してきましたが、成功させるためにはどんなことに気を付けなければならないのでしょうか?
① ターゲットを明確にしてペルソナを作成する
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を成功させるポイント1つめは、
ターゲットを明確にしてペルソナを作成することです。
企業によってどんな人材を採用したいのか?そんな人材にSNSを通じて情報を届けたいのか異なるはずです。自社の経営計画や採用戦略に合わせてSNS採用におけるターゲットを定義していきましょう。
また、自社のメンバーで認識の相違が起きないように、ターゲットのペルソナを作成しておくとよいでしょう。
② ターゲットに合うSNSを選定する
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を成功させるポイント2つめは、
ターゲットに合うSNSを選定することです。
1で決定したターゲット・ペルソナは各SNSをどのくらい活用しているのか?どんな情報を取得するために各SNSを活用しているのか?ターゲットのSNS活用状況を考え自社にとって最適なSNSを選定しましょう。
③ ①②を踏まえて発信内容(訴求)の決定、配信コンテンツの企画をする
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を成功させるポイント3つめは、
12を踏まえて発信内容(訴求)の決定、配信コンテンツの企画することです。
1で伝えるターゲット2で伝える場所(媒体)が決まりました。ではどんな内容を発信・届けるのでしょうか?
ターゲットをどのように態度変容させたいのか考えそれ合う配信コンテンツを企画していきましょう。闇雲に情報発信してしまうと本来目指したいターゲットの状態から乖離してしまいますので、目標とすべきターゲットの状態を定義したうえでコンテンツを企画・決定していきましょう。
④ 継続的に発信する
SNS採用(ソーシャルリクルーティング)を成功させるポイント4つめは、
継続的に発信することです。
SNSでは新着情報から上位表示される仕様上、ターゲットに情報を届ける(表示させる)には継続的に発信をする必要があります。
また、表示順位によってクリック率も大きく異なるデータもあり、遷移が伴うコンテンツを多く発信する場合はより表示順位も考慮して情報を届ける必要があるといえるでしょう。
継続的に発信することは非常に多くの工数がかかりますので、運用担当者の選定や更新頻度の決定など、発信が止まらないように事前に設計をしたうえで初められるとよりよいでしょう。
採用におけるSNSの活用方法
採用広報のための情報発信ツールとして活用
採用広報とは、企業が求職者に自社を就職先・転職先として検討してもらい応募・採用に繋げるための広報活動のことをいいます。
採用広報を行う際に利用できるメディアやツールは様々ありますが、FacebookやTwitter、Instagramなど「SNS」は無料で始めることができるため実施ハードルが低く、大手企業から中小企業まで幅広く活用されています。
また、利用ユーザー数が多いSNSは転職潜在層に広くリーチすることができるため、中長期的に有効な採用の母集団形成を行うことができるでしょう。
求職者とのコミュニケーションツールとして活用
企業と求職者のコミュニケーション方法といえばメールや電話が一般的ですが、現在ではSNS上でやり取りを進める企業も増えています。
メールだと他のメールに埋もれて見逃されてしまったり、メールの確認頻度が少ない方だとなかなか選考を進めることができない、といったデメリットがありますが、SNSを活用することでスピーディーにコミュニケーションをとることができます。
リファラル採用におけるSNSの活用
リファラル採用においてSNSは社員が友人・知人を紹介する際に簡単にコミュニケーションを行うための手段として有効です。
LINEで特定の人に紹介することはもちろん、TwitterやFacebookを使うことで多くの人に一気に見てもらうことができます。たまたま投稿をみた友人が転職を考えていたことも起こりえるでしょう。
コミュニケーション手段の主流がSNSになっているからこそ、リファラル採用情報を簡単にSNSに送ることができると紹介の手間が大幅に減ります。
リファラル採用ツールを導入しSNSに連携させることで、社員の紹介活動における負荷を減らし、リファラル採用を効率的かつスピーディに実現することも可能です。企業の事例も紹介します。
また、社員が友人に伝えるべき内容をいかに簡単でクリアに伝えられるかも、成功させるための重要な要素です。。場合によっては、社員が紹介したいと思っている友人がいても、求人情報を調べる手間がかかると紹介を諦めてしまうかもしれません。
そういった機会損失を防ぐためにリファラル採用の仕組みやフローを設計し体制を整え、社内周知で浸透を図っていく必要があります。
リファラル採用の制度設計や推進方法については各種資料を取り揃えておりますのでぜひご参照ください。
SNSを活用して採用活動を促進しましょう
今回は採用活動におけるSNSの有効性と注意点についてお伝えしました。SNSは法人にとっても個人にとっても手軽で便利ですが、その分気を付けて活用していく必要があります。
リスクを踏まえて正しく活用していけば採用活動の成果を加速させることができるでしょう。