タレントアクイジションとは?言葉の意味や導入のメリット・デメリットをご紹介

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目次

  • タレントアクイジション(Talent Acquisition)という新たな概念とは?
  • タレントアクイジションとリクルーティングの違いとは?
  • タレントアクイジションの考え方
  • タレントアクイジション3つのメリット
  • タレントアクイジション2つのデメリット
  • タレントアクイジション5つの手法
  • 世界のタレントアクイジションの潮流
  • 日本のタレントアクイジションの潮流
  • タレントアクイジションに関する調査レポート
  • タレントアクイジションを推進できるサービス

現代の日本は労働人口の減少、第四次産業革命により優秀な人材の採用が激化しております。競合他社との熾烈な人材獲得競争に勝つためには既存の採用手法では難しくなっており、採用の考え方自体を変革する必要があります。

これらの解決策がタレントアクイジションであり、この新しい概念は世界中の企業の役員室に響き始めています。

タレントアクイジション(Talent Acquisition)という新たな概念とは?

タレントアクイジションとは、タレント(Talent)とアクイジション(Acquisition)を合わせた言葉であり、直訳すると「優秀な人材の獲得」という意味になります。

タレントアクイジションは、短期的な欠員募集に対して人材紹介や求人広告を用いて採用するのではなく、中長期的に会社を成長させるために転職潜在層に対して戦略的にアプローチして競合とバッティングせずに人材を獲得する新たな概念になります。

タレントアクイジションとリクルーティングの違いとは?

リクルーティング(採用)とは「社内の募集を埋めること」であり、年間採用計画や急な欠員補充などのポストに対して採用母集団の形成を行って選考するものになります。
つまり、リクルーティング(採用)では企業の差し迫ったニーズを満たすために転職顕在層から選考して採用する短期的なプロセスであり、企業の成長を見据えた中長期的かつ戦略的な取り組みではないといえます。

タレントアクイジション(獲得)は経営戦略に紐づくHR戦略であり、将来の目指すべき姿から、「採用ターゲットの分析・定義」「採用ブランドの構築」「転職潜在層に対する戦略的アプローチ」などを行い優秀な人材獲得を目指すものです。リクルーティング(採用)に対してタレントアクイジション(獲得)は企業成長につながる長期的な目標に焦点をあてたものになります。

タレントアクイジションの考え方


潜在層から優秀層を獲得するタレントアクイジションは、見込み客を創出するリードジェネレーション、その候補者を応募者化するリードナーチャリング、選考するリクルーティングの3つに分類されます。
日本ではリクルーティングによる顕在層の刈り取り、採用広報などによるリードジェネレーションは一般的なものの、候補者の状態に合わせたリードナーチャリングができていないことが多く、過去候補者の掘り起こしがなかなかできていないのが現状です。

労働人口の減少や求人倍率の上昇に伴い、顕在層を刈り取るだけの採用方法では限界にきており、過去候補者を中心とした企業の資産を全て活用し優秀なタレントの獲得につなげる必要がきております。

タレントアクイジション3つのメリット

世界で普及しつつある「タレントアクイジション」の概念ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか?

1.転職潜在層(転職市場にいない人材)を獲得できる

タレントアクイジションのメリット1つ目は、転職潜在層の獲得です。
タレントアクイジションは自社にプールされた採用候補者に対してアプローチ(ナーチャリング)を行い少しずつ意向醸成しながら、双方(企業と人材)の適切なタイミングで獲得(採用)を行います。
つまり、採用活動を始める前の転職潜在層に効率よくアプローチをすることで優秀層を単願でクロージングすることができるのです。

2.マッチング率が高い

タレントアクイジションのメリット2つ目は、企業に適した人材を獲得できることです。
一般的なリクルーティングのような短期的な採用フローによる獲得ではなく、中長期的にアプローチ(ナーチャリング)を行うタレントアクイジションでは、会社の魅力や風土、社風、業務内容等の理解が深い状態で獲得をすることができ、双方(企業と人材)の理想と現実のギャップが起きにくい採用手法だといえるでしょう。
また、良い組織風土の醸成や退職率低下、従業員エンゲージメント向上などマッチング率向上以外の効果も期待することができます。

3.自社採用力を高め、持続的に候補者を採用できる

タレントアクイジションのメリット3つ目は、応募者を資産として活用することで、持続可能な採用活動ができることです。
リクルーティングでは募集を埋めるために外部チャネルから採用を行うため、一過性に過ぎませんが、タレントアクイジションでは、自社チャネルで応募者を資産にしていくことで担当者が変わっても候補者のデータが残り続け、活用(採用)し続けることができます。

タレントアクイジション2つのデメリット

企業にとってメリットの大きいタレントアクイジションですが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

1.短期的な採用充足が難しい

タレントアクイジションのデメリット1つ目は、短期的な採用充足が難しいというものです。
前述の通り、タレントアクイジションは採用候補者である人材に対して中長期的なアプローチを行い獲得につなげていく採用手法であるため、短期的な採用が必要な職種や採用枠に対しては不向きな採用手法であるといえるでしょう。
また、過去候補者のデータベース化やタレントプールができていない場合は、候補者データを集めることから始めなければならず、タレントアクイジション開始時からすぐに採用につなげるのは非常に難しいでしょう。

ただ、大手企業であれば年間数千人から数万人の採用候補者と接点があり、すぐにデータベースを構築することができるでしょう。むしろ活用できるはずのデータを捨てていることや優秀な採用候補者との接点を持てなくなってしまうことがデメリットだともいえるでしょう。

2.事例が少ない

タレントアクイジションのデメリット2つ目は、事例が少ないことがあげられます。
タレントアクイジションは歴史の浅い採用手法であるため、参考にできる事例が少なく、採用手法として成功させるためにはハードルが高い可能性があるでしょう。

本格的に導入推進している企業が少ない採用手法なので、ブルーオーシャンであり拡大余地は大きい点はメリットだといえますが成功するまでに継続的にPDCAを回していく必要があります。

TalentXではそんなタレントアクイジションを支援するSaaSのご提供からコンサルティングでの支援を行っており、数少ないタレントアクイジションに関するノウハウを保有しております。興味がございましたらお問い合わせいただけますと幸いです。

タレントアクイジション5つの手法

タレントアクイジションで用いられる採用手法をご紹介します。

1.タレントプールリクルーティング

タレントプールとは、将来的に自社の採用候補となりうる人材情報を蓄えるためのデータベースのことであり、タレントプールリクルーティングはそのデータベースを活用して、過去お会いした応募者や、未来の潜在候補者に対して適切なタイミングでアプローチ(ナーチャリング)することで採用につなげるものです。

日本の企業は新卒や中途、リファラル採用など年間1,000名以上もの候補者のデータを取得しています。大手企業であればその数は数千名を超えるでしょう。これまで接点のあった候補者の方々をタレントプールとして蓄積し、適切なタイミングで再びアプローチすることができれば大きな採用効果を生み出すことができます。

タレントプールを活用したデータベースリクルーティングのメリットと促進するための3つのステップ

2.ソーシャルリクルーティング(ネットワーキング)

ソーシャルリクルーティングとは、FacebookやTwitter、LinkedinなどのSNSを活用した採用手法のことをいいます。2010年頃から日本の企業で活用されており、新卒採用などSNS利用が活発な20代に対する採用手法として注目されてきました。

20代を中心とした若手の採用母集団形成をできることはもちろん、企業の仕事風景や風土、働き方など、なかなか伝わりづらい現場の「生の声」を届けることができ、カルチャーマッチした人材が集まりやすくマッチング率の向上を図ることもできます。

3.リファラル採用

リファラル採用とは、社員に人材を紹介してもらう採用手法のことであり、自社をよく理解した社員の紹介から採用を行うため、企業にマッチした人材の応募を獲得することができ、他採用手法に対して高い決定率、定着率である採用手法になります。

近年では日本でも導入が進んでいるリファラル採用ですが、欧米企業では中途採用の約85%がリファラル採用経由で決定しており、欧米企業のメイン採用チャネルとして活用されています。

リファラル採用とは?メリット・デメリットや費用、運用方法についてご紹介

4.ブランドマーケティング

ブランドマーケティングとは、採用候補者が自社で働きたくなるための動機付けを行うブランディングのことをいいます。企業が採用したい優秀な人材を獲得するためにターゲットからの印象や評判を向上させ、持続可能な採用マーケティングを実現できるものになります。

5.インターナルモビリティ

インターナルモビリティとは、企業内の人事異動制度の一つであり、「Internal(内部の)」と「Mobility(可動性・移動性)」を組み合わせたビジネス用語です。タレントマネジメントなど、従業員が持つスキルやノウハウを最大限生かすための手法はさまざまな企業で導入が進められており、従業員一人ひとりのパフォーマンス向上や企業成長において非常に重要なものとなっております。

社内転職市場を構築し、企業内部からタレントの最適配置を実現することは、タレントアクイジションにおいて最も重要な要素であり、米国においては企業の42%がインターナルモビリティへの投資を拡大していると言われています。

世界のタレントアクイジションの潮流

世界では優秀な人材を獲得する手法としてタレントアクイジションが注目されてきており、実際に検索数の上昇や投資拡大が行われているのをご存じでしょうか?

タレントアクイジションへの投資拡大

先進各国では、2013年頃から「リクルーティングisマーケティング」というワードが浸透しており、戦略的に優秀な人材を獲得するタレントアクイジションの潮流が到来しています。

米国の大手ソーシャルリクルーティングサービスJobviteの調査によると、2013年の段階で企業が投資拡大を検討している採用手法はソーシャルリクルーティング、リファラル採用、自社サイトなどの潜在層にアプローチするタレントアクイジションチャネルが上位を占めています。

出典:2013 Social Recruiting Survey Results(jobvite)
https://www.jobvite.com/wp-content/uploads/2020/08/Jobvite_SocialRecruiting2013.pdf

「タレントアクイジション」がHRのトレンドに

タレントアクイジションの潮流について、これらの動きは米国だけに留まらず、Googleトレンドによると2013年あたりから検索数が増加しており、世界の採用トレンドとしても「タレントアクイジション」が盛り上がりを見せていることがわかります。

タレントアクイジションの注目が高まっている背景

【世界の時価総額ランキング上位は、IT情報通信産業】
世界でタレントアクイジションに注目が高まっている背景には、産業構造の変化があります。かつては世界の時価総額ランキングの上位を製造業が占めていましたが、現在はIT情報通信産業が占めています。

それによって、商品や工場など有形資産ではなく、人材やデータ、ノウハウ、ブランド、研究開発などの無形資産が企業価値に直結するようになりました。

【人的資本経営が求められる】
アメリカでは、1995年頃から有形資産よりも無形資産への投資割合が上回っており、その中でも「人的資本」に注目が高まっています。

「優秀なエンジニア5名は、平凡な1000名を凌駕する」というメッセージがあるように、短期的に数合わせの人材をとるのではなく、戦略的に優秀な人材を獲得する重要性が語られてきました。

日本のタレントアクイジションの潮流

世界のタレントアクイジションの潮流についてご紹介しましたが、日本においてはどのような状況なのでしょうか?労働市場の課題から見ていきます。

日本の労働市場(労働力の減少)

少子高齢化に伴い、日本の労働力が減少の一途を辿っていることは周知のとおりであり、
総務省のデータでは労働力人口は徐々に減少を続け、2065年には2020年対比で約4割減になると推測されており、今後、人手不足による採用市場の激化が予想されています。


出典:「少子高齢化で労働力人口は4割減」図表2労働力人口と労働力率の見通し/みずほインサイト
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/mhri/research/pdf/insight/pl170531.pdf

一部の産業を除き、ほぼ全ての業界・職種にて人手不足が余儀なくされる未来ですが、インターネットのグローバル規模での普及、第四次産業革命に伴う産業構造の変化により、特に専門・技術職の労働人口の減少は喫緊の課題だといわれています。

労働生産性の低迷

かつて世界の経済大国だった日本ですが、今や一人当たり名目GDPの減少に伴い、労働生産性も先進各国最低水準です。


出典:「ファクト」から考える中小製造業の生きる道
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2106/14/news001_2.html

また、G7:主要先進7か国(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・日本・カナダ・イタリア)の労働生産性比較では、1970年以降最下位となっており、生産性の低さは長年の課題になっています。

タレントアクイジション時代への突入

2020年に未曾有のパンデミックであるコロナが到来し、従来のHRの在り方が抜本的に変化、DXが加速したことで質の高い人材の確保が各社の会議室を賑わすことになりました。

IT化においても先進各国より大きく遅れるデジタル後進国と呼ばれる日本ですが、コロナによりDXの必要に駆られてようやく政府も老朽化したシステム、IT人材の不足、デジタル経営戦略に曖昧さを痛感しだしました。

一方、ITエンジニアの転職市場に存在する候補者数に対して、企業の需要は100倍。
転職市場のみでなく国内全体で見ても、ITエンジニア就業人口106万人に対して、企業のエンジニア需要は約136万人と、労働人口としてそもそも足りていない状況。日本においても既にタレント獲得時代に突入しているといっても過言ではありません。

高度経済成長時代に大量採用していた手法ではなく、中長期を見据えて経営戦略と連動した人材戦略を作り、タレントを獲得していく重要性が高まっています。

タレントアクイジションに関する調査レポート

タレントアクイジションはどの程度活用されているのでしょうか?
弊社TalentXはタレントアクイジションに関する調査レポートをリリースしております。
導入している企業はどの程度いるのか?また、再スカウトに対して採用候補者はどのように感じているのか?是非資料をダウンロード頂きご確認ください。

タレント・アクイジション実態調査vol.1


ダウンロードはこちら
1.ナーチャリング(再スカウト)の候補者意識調査
候補者は辞退した企業から再度スカウトが来ることに懸念があるか?

2.応募者のCX(選考体験)調査
選考を通じて応募者の意欲は高まるか?
どのような要素があれば意向が高まるか?

タレント・アクイジション実態調査vol.2


ダウンロードはこちら
1.過去応募者への再スカウトと採用実績調査
過去辞退・不採用になった候補者に再度スカウトすることで成果が出るか?

2.タレントプールの蓄積・活用実績調査
各社は戦略的にタレントプールを構築・活用しているのか?
タレントプールの活用にはどのようなハードルがあるか?

タレントアクイジションを推進できるサービス

MyTalent

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