アルバイト70名採用、離職者ゼロ。外食業界の採用トレンドはリファラル採用に

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アルバイト70名採用、離職者ゼロ。外食業界の採用トレンドはリファラル採用に

あらゆる業界で労働力不足が叫ばれる昨今。その中でも特に、社員の採用だけでなくアルバイト・パート採用にも頭を悩ませている方が多いのが外食業界ではないでしょうか。そこで2018年1月23日(火)、「外食業界における攻め採用のトレンドとは?」と銘打ち、外食業界におけるリファラル採用のあり方を説明するセミナーが開催されました。「MyRefer」のプロデューサー・鈴木貴史によるセミナーの内容を、同業界での成功事例としてリファラル採用に取り組んでいるモスストアカンパニー取締役 田口氏のプレゼンも踏まえレポートいたします。

“働きたい人”が減少する一方で、“求人数”は増加するアルバイト市場

今後、日本の労働人口は間違いなくシュリンクします。2050年には日本の人口は1億人を切り、労働人口に至っては10%以上の減少が見込まれています。
外食業界を支えるアルバイト・パート採用市場において、問題はさらに顕著です。
“働きたい人の人数“は減り続けているにも関わらず、”募集する求人数”は増え続けており、有効求人倍率は上昇の一途を辿っています。(2017年11月の有効求人倍率は1.81倍)

働きたい人は減りつ続け、募集する求人は増え続けている

当然、外食産業を支える現場も人手不足に不安を感じており、パーソル総合研究所が外食産業の大手企業の店長・管理者向けに調査した内容によれば、「人が採用できないこと」「従業員がすぐ辞めてしまうこと」「職場で頼れるメンバーがいないこと」など、“人”に関する回答の多さが近年になって特に目立つようになっています。

店長・管理者が職場で感じている課題

アルバイト・パート市場の採用は、少子化に伴う労働力人口の減少も視野に入れると、ますます深刻化することは避けられないと考えられます。

デジタルネイティブ世代は、リファラルでバイト探し

鈴木登壇風景1

現場で採用に関わっている方であれば、このような危機感は既に肌で感じているかと思います。ですが、その厳しさを認識した上で言えば、希望もあります。
パーソルキャリアが運営するanの「法人満足度調査アンケート」によれば、現場の方々がもっとも有効だと感じている採用手法が、従業員・友人・知人・家族の紹介による採用でした。
また、同パーソルキャリアがアルバイト・パート市場の個人(求職者)向けにアンケートを取った「若年層白書」によれば、若年層のデジタルネイティブ世代においては、“友達から勧められた”(17.3%)、“家族に勧められた”(9.1%)、“家族・知人が働いていたから”(8.3%)と、“紹介によるバイト探し”をする割合が増えてきています。
リアルの交友関係だけでなく、SNSのつながりによる情報収集やバイト探しも増えているのが現代らしい特長です。

バイトの意識・実態調査

これらの法人・個人の採用・求職トレンドを踏まえると、外食産業を含むサービス産業はリファラル採用が非常に効果的であることが言えます。

特に外食や小売りなどのサービス産業では、友達や家族の紹介で仕事探しをすることが多いアルバイト・パートに労働力を依存する傾向が強いため、正社員と比較して紹介することへのハードルも低く、声掛けの摩擦が多いため、なおさらリファラル採用との親和性が高いと言えます。

リファラル採用のメリットは、定着率の高さや採用単価の削減、潜在層へのアプローチなどが挙げられますが、特にスタッフの離職などに課題を抱えているアルバイト・パート採用においては、これらに加えて、『従業員エンゲージメントの向上』もメリットとして考えられます。

後に事例としてモスストアカンパニー様にご登壇頂きますが、MyReferで紹介をしてくださっているアルバイト・パート社員の方々のデータや紹介コメントを分析すると、友人を紹介して自店舗で一緒に働くことで、より帰属意識が高まるとの内容が多数寄せられております。
これらは特に10代20代の若いスタッフの方が多く、リファラル採用を加速することで自店舗へのロイヤルティが高めることを裏付けています。

結論として、リファラル採用はROI(投資対効果)の高い採用手法。“低カロリーで、質の高い採用”だと言えます。

外食業界でのリファラル採用では、特に「認知」に注力すべき

鈴木登壇風景2

では、リファラル採用を導入するにはどうすればいいのか。
リファラル採用の構成要素は、

  • (1)「認知」
  • (2)「動機付け」
  • (3)「行動」

の3ステップに分解されます。

人事側の視点からすれば、リファラル採用の情報を告知はしているはずなのに何故か現場には浸透していない、というケースは非常に多くあります。特に外食業界では、本部と現場との距離が離れており、店舗スタッフとのコミュニケーション方法が少ないため、リファラル採用を現場に浸透させるうえで、まずは友人紹介制度や募集ポストを認知してもらうことにもっとも注力する必要があります。

このような認知の重要性はその他の業界でも共通して言えることです。日本において多くの場合、採用は現場社員のミッションではありません。そのため優先順位が必然的に下がってしまい、制度を設計しただけではどうしても忘れられてしまいます。
浸透させるためには、リファラル採用に関する情報を本部人事から、現場管理職から定期的に発信し、現場社員をリテンションし続けることが必要です。

また、情報の出し方にも工夫が必要です。
例えば、毎回新規求人の情報ばかり発信していても、現場社員からするとノイズだと捉えられ浸透率は変わりません。

必要なのは、リファラル採用に関する多角的な情報を発信すること。
具体的には、

  • (1)新規求人が出る度に広報
  • (2)各店舗ごとの参加率などの活動状況を共有し
  • (3)気軽なイベント情報・リクルーターや店舗毎のランキング情報を共有
  • (4)入社事例をインタビュー記事にして、リーフレット配布や、社内イントラへ掲載

といったステージごとの情報を定期的に告知することが有効です。

70名のアルバイト、5名の中途社員を採用したモスストアカンパニー

田口氏風景1

ここでリファラル採用に本気で取り組んでいる企業として、全国208店舗のモスバーガーの運営を行っている株式会社モスストアカンパニー様の事例が紹介されました。登壇したのは、モスストアカンパニー 取締役 総合サポート部 部長の田口学俊氏。

同社では、アルバイト・新卒・中途のすべての採用領域における採用強化をめざし、友人紹介制度「リファモス」に取り組んでいます。今後の採用について強い危機感を抱いていたところ、リファラル採用のことを知り、「MyRefer」を導入しました。
モスストアカンパニー様の事例において注目すべきは、リファラル採用の認知浸透におけるコミュニケーションプラン設計の重要性です。同社では、(1)中途採用 ⇒ (2)アルバイト・パート採用、(3)新卒採用という順で段階的にリファラル採用を開始。「リファモス」と命名し、店長以上が集まる全社会議でリファラル採用の意義を説明しました。また、同時期に「リファモス」を始めた事を、本社からニュースリリースとして発信しています。
さらに、定期的に実施される店長向けの研修プログラム内でも再度説明を行い、チラシを配布して「リファモス」のアプリ登録促進も実施。研修後の交流会でも必要性を語りました。
「また言っているのか、という感じだったと思います(笑)。ですが、繰り返し語るうちに、“私は関係ない”と思っていた社員の意識も徐々に変わってきました」と田口氏は語ります。

田口氏風景2

当初、インセンティブについて特に明言はしていなかったそうです。それよりも、「みなさんの力を借りたい。人脈と信用力を使わせてほしい」と、あらゆる場面で何度も広報を繰り返したとのこと。認知を広げるのは簡単ではなく、泥臭い努力を厭うわけにはいきません。
中途採用を軸にリファラル採用の仕組みを整え、確かな手ごたえを得られた後に、アルバイト・パート採用(キャスト採用)に展開。店長からキャストへの継続的な声掛け、店舗事務所へのチラシ配布とポスター掲示を行いました。そして社員リクルーターの数は100名を突破。

活動内容や内定状況は「MyRefer」でリアルタイムで分析することができるため、認知浸透度合いを見ながら積極的に社内に共有しました。リファラル採用による決定者やリクルーターインタビューも実施し、インタビュー記事を社内報(人事教育通信)でも紹介するなど、継続的に認知度向上の施策を実施しました。
その結果、キャストは5ヶ月で70名を採用、中途入社は5名入社しました。しかも、現在まで退職者は1人も出ていないのだそうです。現在では「MyRefer」で告知するだけで、社員やキャストが定期的にログインし、都度リテンション、紹介してくれる状態になりました。さらに、これらの成果を受けて新卒採用にもリファラル採用を導入し、2名の新卒内定実績も生まれています。

その他の外食・小売り企業では、「MyRefer」でアルムナイ社員を採用

直近では、外食や小売りなどのサービス業界において、MyReferを活用してアルムナイ採用(出戻り採用)を促進する事例も増えております。
「アルムナイ採用」とは、以前勤めていた社員・アルバイトを対象にした出戻り採用のこと。
「MyRefer」の導入によって退職者のデータベースを構築し、過去に店舗で勤めていた店長・社員・アルバイトに対して声掛けを実施。応募のコンバージョンも高く、半年で5名のアルムナイ採用を実現した事例もあります。

実際のアルムナイ社員の方の声として、長らく前に勤務していた店舗への復職を考えていたものの、「一度辞めた会社に再度応募することを恥だと思っていた」という声があります。
採用側としては、「戻ってきてもらいたい」と考えていても、辞めた会社・店舗には戻れない(戻りにくい)と考えている元社員・アルバイトの方は多いようです。また、現職の社員の方は元社員の方とのつながりを持っているケースが多いため、リファラル採用が特に有効に働きます。

リファラル採用の構築・促進、アルムナイ採用の促進には、「MyRefer」が有力解になる

これまでのセミナーを総括すると、外食業界におけるリファラル採用においては、認知度を向上させていく為のコミュニケーションプランの設計と、制度を浸透させる仕組みの必要性が見て取れます。そこで有効なのが、「MyRefer」です。
利用企業数は350社、利用社員数は8万人。日本でもっとも利用されているリファラル採用ツールとして急成長しており、今回紹介したように、外食業界でも実績が生まれています。

「MyRefer」を端的に表現すれば、“もっとも簡単にリファラル採用を導入し、活性化させるクラウドサービス”と言えます。社員紹介制度の設計から、社内広報資料の作成やプロモーション支援、分析・レポーティングまですべてを一つのサービスで完結することができ、採用担当者、社員ともに負担の少ない、持続可能な仕組みを構築可能です。
アルバイト・パートに依存する部分が大きく、“人”に起因する課題を抱えている外食業界だからこそ。さらに採用が困難になる「採用ゼロ時代」を生き抜くためには、「MyRefer」とリファラル採用が有効な解決策となることは間違いありません。