即戦力になる人材を確保できる!アルムナイ制度について知ろう

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即戦力になる人材を確保できる!アルムナイ制度について知ろう

企業にとって即戦力になる人材は、喉から手が出るほどほしいもの。しかし、「具体的にどのような方法で確保すればいいか分からない」という人事担当者も多いのではないでしょうか。そこで今回は、自社の退職者を再雇用する「アルムナイ制度」に焦点を当て、概要や特徴、メリットなどについてご紹介します。

退職者を再雇用!注目を集める「アルムナイ制度」とは

そもそも「アルムナイ」という言葉の意味をご存じでしょうか。これは、卒業生や同窓生、校友という意味を持つ言葉で、転じて企業の退職者を指します。現在、そんなアルムナイが人事戦略のひとつとして多くの企業で重宝されています。

アルムナイ制度の概要・特徴

アルムナイ制度とは、何らかの理由で自社を退職した人を再雇用する制度のことで、別名「カムバック制度」「出戻り制度」ともいわれています。最大の特徴は、何といっても自社の理念や目標を理解した人材が戻ってくるところ。人材採用の失敗を回避できるだけでなく、即戦力としての活躍が期待できます。

そんなアルムナイ制度の要素を取り入れている企業は多く、ある調査によると全体の約7割の企業が退職者を再雇用した経験があるということが分かっています。そのきっかけは、退職者本人から直接応募があったり、在籍中の社員による推薦だったりとさまざま。実際に退職者を再雇用した理由には、「即戦力を求めていた」「人となりが分かっているから安心」といった声が多いことから、企業がアルムナイ制度に寄せる期待は極めて高いことが分かります。

アルムナイ制度と似た制度に「ジョブ・リターン」がありますが、これら2つは意味合いが異なります。アルムナイ制度が家庭の事情をはじめ、他社への転職、起業など、さまざまな理由で退職した人を再雇用する制度であるのに対し、ジョブ・リターンは結婚や出産、育児、介護など、個人的な事情で退職した人を再雇用する制度で転職の意味合いで使われることはあまりありません。アルムナイ制度の場合、自社を退職した後もビジネスシーンで活躍していた人材を再雇用できる可能性が高いため、即戦力の確保という点においては非常に有効といえます。

アルムナイ制度が注目されている理由

アルムナイ制度が注目されている理由には、企業における「人材の流動化」が大きく関係しています。

終身雇用制度の終焉

終身雇用制度で入社した企業で長く働くことが当たり前だった時代は終わり、現在はさまざまな事情で退職・転職する人材の流動化が進んでいます。こうした現状を回避するためには、自社にマッチした人材を確保したり、在籍中の社員が退職しないよう対策を取ったりと、企業が工夫を施す必要があります。しかしこうした工夫は、採用コストの増加や採用のミスマッチなどが発生しやすくなる要因のひとつでもあります。

そこで役に立つのが、アルムナイ制度です。自社の退職者(=自社の理念や目標を理解した人材)を再雇用できるので、採用コストが増加したり採用のミスマッチが起こったりする心配はほとんどなくなります。こうした点から、アルムナイ制度に注目が集まっています。

知っておきたい!アルムナイ制度を導入するメリット

知っておきたい!アルムナイ制度を導入するメリット

では、アルムナイ制度を導入した場合どのようなメリットを得られるのでしょうか。以下で2つご紹介します。

人材の採用・育成にかかるコストを削減できる

アルムナイ制度を導入した場合、基本的に退職者本人から応募があったり、在籍中の社員から推薦があったりするので、求人媒体を活用するなどして募集をかける必要がありません。また、アルムナイ制度で採用した人材は企業独自の働き方を把握・理解している場合がほとんどです。そのため、採用コストや研修・育成コストを大幅に削減することができます。

採用チャネルとして最も有効性が高い

厚生労働省による「平成30年雇用動向調査結果」によると日本企業の平均離職率は11.3%で離職者数は約415万人に上ります。(一般労働者)
従業員規模が大きければ大きい企業ほど、無視できない数値になっているのではないでしょうか。また、かつて自社で活躍していた人材のうち、他社でスキルや経験を積んできた人材となればマッチング率も非常に高く、即戦力の人材採用手法として、この採用チャネルを活用しない手はありません。

企業の活性化・ブランディングの向上につながる

社内の雰囲気がよくなる可能性がある、という点もアルムナイ制度を導入するメリットのひとつ。「一度退職してもまた戻りたいと思える会社」と在籍中の社員に印象づけることができるため、従業員エンゲージメントの向上にも作用するのです。さらに一度外の組織に出た経験や知識を取り込み、再就職した社員が自社にその知見を持ち帰ってきてくれたり、社内に新しい風を巻き起こしてくれることでさらに組織が活性化するかもしれません。SNSなどを通じて拡散されれば、企業のイメージアップも期待できます。

さらにアルムナイ制度を導入するメリットは、退職者を再雇用した場合にのみ生まれるものではありません。退職者と関係を持っておくだけでも、顧客となる可能性や仕事を紹介してもらったり、新規事業を立ち上げる際にフォローしてもらったりといったメリットを得ることができます。

押さえておこう!アルムナイ制度の上手な活用方法

押さえておこう!アルムナイ制度の上手な活用方法

アルムナイ制度を導入し、活用するためのメソッドを押さえておきましょう。

イグジットマネジメントに目を向ける

アルムナイ制度を上手に活用するためには、「イグジットマネジメント(雇用における出口管理)」に注力することが大切です。アルムナイ制度で退職者を再雇用し、その後活躍してもらうためには、そもそも円満退職をしていなければなりません。
イグジットマネジメントは、その円満退職を実現するために役立てられる計画・管理法です。具体的には退職時・退職後のステップアップ支援などを取り入れることで、退職者の不安を軽減させることができ、円満退職を実現しやすくします。そうなれば退職者の再雇用がしやすくなるので、まずはイグジットマネジメントに目を向けてみるのもよいかもしれません。

退職者を受け入れる体制を整える

アルムナイ制度を導入するうえで、企業の体制を整えることは重要なポイントです。
退職社員への連絡手段がなければ、退職後にコミュニケーションが取れなくなってしまうことは課題の一つでしょう。また退職者もそもそもアルムナイ制度の存在を知らない、興味があっても情報を受け取る手段がないといったことも想定されます。

そのような機会損失を起こさないためにアルムナイ制度をきちんと設計し、退職者のためのコミュニケーションプラットフォームの整備や、退職時にはアルムナイ制度の存在を落とし込みプラットフォームに登録を促すなどフローを明確にしましょう。
また退職者は退職した企業に再度応募するのは恥ずべきことだと考えているケースが多いので企業からきっかけとなるようなアプローチをすることが重要です。たとえば退職者向けにイベントを開催することなど効果的です。

恐らく各企業では、従業員の退職後も社会保険や給与、源泉徴収票などのやり取りのために退職後の連絡先情報を保有していることも多いと考えられますので、制度設計と制度周知を行うだけでも、退職者との有効な関係性を持ち続けることができる可能性が上がるのではないでしょうか。

雇用形態に多様性をもたせる

「後々、自分の会社を立ち上げたいと思っている」「フルタイムでは働けない」など、退職者一人ひとりに個性があるため、アルムナイ制度を導入する際は雇用形態のバリエーションを増やしておくことも大切です。例えば、起業を志している退職者であれば、再雇用ではなく副業や兼業、フリーランスなどの形態を提示することで人材採用につながる可能性が高くなります。自社にとってデメリットにならない程度にバリエーションを増やすことで、双方にとって満足度の高い人材採用を実現することができます。

「アルムナイ制度を上手に活用したい」からといって、上述した3つの方法を一度に意識する必要はありません。自社に合ったもの、または取り入れやすいものを選び、ひとつずつ対応していきましょう。

実際にアルムナイ制度に取り組んでいる事例

株式会社スープストックトーキョー

スープストックトーキョーでは退職した社員・パートナーとつながり続けるために「バーチャル社員証」という制度を導入しています。とてもユニークな制度でお店の割引を受けられたりメルマガや社内報で情報を得たり、社内イベントに参加できます。
実際にアルムナイ採用にもつながっているその詳細をご紹介します。

アルムナイ(卒業生)とのつながりを大切に。スープストックトーキョーの「バーチャル社員証」とは?
https://i-myrefer.jp/media/lab/branding/interview5/

アクセンチュア株式会社

アクセンチュアでは退職者向けにウェブサイトを構築しており、求人情報や社員発信のブログの閲覧、最新情報を受け取ることができます。またグローバルサイトでは退職者のつながりを活用することができます。

アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク
https://www.accenture.com/jp-ja/careers/explore-careers/area-of-interest/alumni-careers

アルムナイ制度を導入して、優秀な人材を再雇用しよう!

人材の流動化に伴い、アルムナイ制度は多くの企業から注目を集めています。実際に、アルムナイ制度の導入にあたって退職者が集うイベントを開催したり、企業ホームページに退職者のページを作成したりしている企業もあるほど。「即戦力になる人材がほしい」「採用コストを削減したい」と考えている企業や人事担当者は、ぜひこの機会に、アルムナイ制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。すでに導入している企業の事例を参考にすれば、自社に合った導入・活用方法が見えてくるかもしれません。