大企業が陥るリファラル採用の壁~リファラル採用を仕組み化するには~

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大企業が陥るリファラル採用の壁~リファラル採用を仕組み化するには~

人手不足や新卒の通年採用化を背景に、大手企業でも社員の紹介による「リファラル採用」を取り入れる企業が増えてきています。ただし、数千~数万人の社員を巻き込んでリファラル採用を推進していくことは簡単ではありません。

今回は、

  • 1000名を超える大企業の人事をしているが、今後リファラル採用を実施するうえでどのような壁やトラブルがあるかを知りたい
  • 1000名を超える大企業において、既に社員紹介制度を運営しているが、なかなか促進されない。どのようにすればより本質的に促進できるのかを学びたい

などお悩みの方のため、特に大企業におけるリファラル採用にはどのようなメリットがあり、運営をするうえでどのような壁にぶつかるのか、
失敗事例と成功ポイントを分解し、大企業がリファラル採用を成功させるためのメソッドをご紹介いたします。

日本の労働人口、採用市場の変遷と大企業の立ち位置

実際にリファラル採用を成功させるためのメソッドの前提として、労働市場や採用市場における現状について触れておきましょう。

日本の労働市場・採用市場の変化

日本の労働人口は2015年の276万から2025年にかけて約7%に相当する18万人減少し、258万人となることが予想されてます。またその中で中小企業から大企業へ転職する人も63万人から56万人へ減少し、約11%が減少します。さらに今後2050年までに人口が1憶人を下回り、少子高齢化と相まって、労働人口は10%以上減少する見込みです。
この状況に対応し、自社の採用目標を達成するためには企業の取り組みも変えていかなくてはなりません。

働き方に対する個人の志向性の変化

戦後の高度経済成長期から長らく個人が仕事に対して求めるものは安心や安定であり、企業と個人のコミュニケーションは企業から個人への一方通行なものでした。そして企業と個人のつながりを測る指標は、個人の企業に対するロイヤルティ(忠誠心)や従業員満足度でした。
しかし働き方改革やミレニアム世代の台頭によって個人の志向性は安定から「やりがい」へ、コミュニケーションは一方通行から企業と個人の「双方向」に、指標はロイヤルティから「エンゲージメント(愛着信)」へと変わってきています。

それに伴い学生が志望する就職先もかつての安定性を求めた大企業一辺倒から、より仕事の介在価値が大きい1,000名以下の企業が上位に来るなど変化しています。大手企業の採用優位性が失われつつあるのです。

また環境の変化によって既存の採用チャネルの影響力も低下しています。有効求人倍率が上昇したことで、今や人材紹介における応募意思獲得率、決定率ともに5%という低水準で推移しています。
情報の流通量が爆発的に増えたことで、求職者が求める情報は表面的なハードな情報からリアルで生々しいソフトな情報へと変化しました。大企業だからといって求人広告や人材紹介といった文字情報だけでは差別化が図れず、優秀層を獲得できない可能性があります。
社員からのリアルで生々しい情報を発信することが今後の採用における競合優位性につながっていくのです。そのためには自社の従業員エンゲージメントを高め、企業のファンを増やし自社を語ってもらうことがなくてはなりません。

大企業だからこそ得られるリファラル採用のメリット

ここ近年でリファラル採用の導入に向けて多くの企業が動き出しました。各企業はなぜ、何のためにリファラル採用に舵を切ったのでしょうか。

転職潜在優秀層の獲得

日本人の平均転職回数は約2.8回です。(平成27年 厚生労働省:転職者実態調査)これは米国の11.7回と比較すると1/4以下と少なく、積極的には転職活動をしない潜在層が多いことを意味します。
例えば、学歴、役職、年収の観点からハイレイヤー層が多いLinkedin日本会員ユーザーの約8割は、積極的に転職活動をしていない転職潜在層であり、その7割の人が口コミやSNSを活用して転職活動の情報収集をしています。(Linkedin:日本タレントレポート)
こういった転職潜在層に対し、従業員数1000名の企業がソーシャル上で友人紹介を行った場合、SNSで1人あたり200人の友人がいるとすると理論上20万人以上の転職潜在層へアプローチすることができるのです。

採用のミスマッチ削減/定着率向上

リファラル採用は採用確度が高く、マッチング率が高いため離職率が圧倒的に低いです。
リファラル採用経由の応募者における採用決定率は求人広告の20倍、人材紹介の4倍ほどであり(MyRefer調べ)、採用後の離職率は他採用チャネルの入社者と比較して20%低下したというデータ(jobvite調べ)があります。
エージェント経由の候補者は、10社~20社の求人票を紹介され、その中から併願して応募することが多いですが、リファラル採用は基本的に単願応募になる可能性が高く、面談離脱や、他者バッティング負け、辞退リスクが低くなると言われています。

従業員エンゲージメントの向上

社員はリファラル採用に携わり、自社について語ることで自分事化し、当事者意識が醸成されます。当事者意識が醸成されることで従業員エンゲージメントの向上にもつながります。

従業員エンゲージメントを向上する方法については別途記事にまとめておりますのであわせてご覧ください。

従業員エンゲージメントを向上するために必要な取り組みとは——従業員エンゲージメントとリファラル採用の相関性
https://i-myrefer.jp/media/lab/engage/engagement_referral/

採用コストの大幅削減

人材紹介は紹介料として採用者の理論年収の30%~35%の費用が発生するケースが多いです。たとえば年収500万円の人を採用したとすると150~175万円の紹介料が発生します。また求人広告は掲載費として30~150万円が費用として発生します。
リファラル採用であれば発生する費用はありません。たとえ紹介者採用者の双方にインセンティブを支給したとしてもその費用だけなので30万円以下に抑えられるでしょう。
これを大企業で比較してみると例えば中途採用を年間100名実施している場合、以下のようなシミュレーションとなります。

年間約7,300万円もの採用コストを削減することが可能であり、実際にメルカリやグーグルなどの企業は採用の半分以上をリファラル採用で実施しています。

転職潜在優秀層の獲得、採用ミスマッチの削減/定着率向上、社員のエンゲージメント向上、採用コストの大幅削減という4つの観点から、大手企業にとってROIの高い採用手法がリファラル採用だということがわかります。

大企業が陥るリファラル採用の課題(壁やトラブルなど)と解決策

大企業が陥りやすいリファラル採用の課題とその対策をご紹介します。

導入課題:自社がリファラル採用に注力する意義を整理できていない

リファラル採用は社員を巻き込んで取り組むため人事だけでは完結しません。採用効率は非常に高い一方で、それを享受するためには仕組化するまでの工数が必要です。しかし、一度仕組化し軌道に乗せることができれば自然と決定を生み出し続けられるようになります。リファラル採用は短期ではなく長期の採用戦略として取り組む必要があるのです。

中長期的な採用戦略を考えるうえでは、リファラル採用の導入目的の整理と、達成指標(KGIやKPI)を設定することが必要です。

よく、取り組みに失敗するケースとして、目的がなく、定量目標のみを設定しているため何がゴールなのかわからない、目的、目標が具体的でなく、ゴールと進捗状況が不透明といった状況に陥る企業がありますが、成功している企業例は、リファラル採用の目的を全社で仲間集めをすることで、当事者意識を醸成し、持続可能な採用チャネルを確立すること、目標を●名の社員が自社を紹介し、●名が採用決定に至り、●円の採用経費を削減できている状態においているなど、中長期的な定性目標と定量目標が明確になっていることが多いです。

リファラル採用が成功するイメージを合理的に説明できない

大企業においてリファラル採用の稟議をあげる際に、社内でどのような反対意見が出るでしょうか。成功イメージを合理的に説明できずにプロジェクトがとん挫してしまうケースも散見されます。
「うちの社員はリファラル採用に適してないのではないか?」
「そもそも社交的な社風じゃないし、声掛けできる友人がいる会社じゃない。」
といった感情・感覚論や
「リファラル採用に取り組む前にまずは福利厚生など自社をおすすめできる制度を整えるべきでないか」
などといった慎重論の反対意見が出るケースが多いです。

感情・感覚論系の反対意見に対しては
どんな会社にもロイヤルティの高い社員、友人の多い社員が一定数いること。そういったアクティブな社員をいかに動かし、パッシブな社員をいかに自分事化(エンゲージ)させていくかがリファラル採用の意義であることを訴求していきましょう。従業員1万名の企業の場合、1000~2000名の協力社員を募ることができるわけです。
また、リファラル採用の7~8割は飲み会などのプライベートシーンで起こるため、7~8割のパッシブ層がプライベートで受動的に紹介できる機会をいかに創ることが重要かということも訴求していきましょう。

また「リファラル採用に取り組む前にまずは福利厚生など自社をおすすめできる制度を整えるべきでないか」といった慎重派の意見に対しては従業員エンゲージメントの向上方法を説明する必要があります。
会社の根幹に関わるミッションに携わることで会社や組織、事業を自分事化し、当事者意識を醸成して従業員エンゲージメントが高まっていくこと。リファラル採用自体が、従業員エンゲージメントの向上のきっかけにも、分析するための素材にもなりうる点を説明しましょう。

報酬(インセンティブ)設計でリーガルチェックが通らない

リファラル採用に取り組むにあたり、報酬(インセンティブ)制度を導入したいけどリーガルチェックで法務からNGが出て導入できないといった声をよく聞きます。大企業であればあるほど法制度を懸念し、慎重な傾向が強いようです。
リファラル採用を実施している企業の約85%は報酬(インセンティブ)制度を実施しています。しかし実際に友人を紹介する理由は、人事マネジメントコンサルティング会社の Dr. John Sullivan& Associatesが実施した調査によると、51.4%の人が「友人の力になりたいから」と回答し1位、次いで21.6%の人が「ともに働く人材の選択に自分も関わりたいから」と回答しています。「ボーナス収入を得たいから」と回答した人は11.3%しかいませんでした。

重要なのは報酬(インセンティブ)を目的にリファラル採用に協力してもらおうとするのではなく、あくまでリファラル採用に協力してくれた称賛として支給する動機付けとして活用することです。

報酬(インセンティブ)制度設計については法的解釈も含めて別途資料としてご用意しておりますのでぜひご覧ください。

リファラル採用の報酬(インセンティブ)の設定方法
https://i-myrefer.jp/media/resource/resource_5/

実際に大手企業でリファラル採用の運用に成功している事例

大手企業でリファラル採用に取り組み、成功している2社の事例をご紹介します。

富士通株式会社

転職潜在層へのアプローチを目的にリファラル採用に取り組むことに決めました。実施する前に大手企業だからこその段階的な展開を実施しました。実際に取り組んでいく中で当初想定していなかった成果もあがっています。

富士通が3万3千人の全社員に展開してリファラル採用に取り組む理由
https://i-myrefer.jp/media/case/fujitsu/

株式会社NTTデータ

経験者採用の拡大のため、マッチング率の高さに期待してリファラル採用の導入を決定しました。段階的に社内展開しており、大手企業だからこその注意点にも触れています。

NTTデータは1万人の社員とともに “採用決定率の高い”リファラル採用に取り組む
https://i-myrefer.jp/media/case/nttdata/

リファラル採用を活用して自社の採用活動を加速させよう

大手企業におけるリファラル採用の壁とそれを解決するための考え方をご紹介しました。
リファラル採用は今後の採用市場において極めて重要な取り組みであり、特に大企業において仕組化できれば、圧倒的な競合優位性につながります。
一方で大企業の場合、制度設計を行ううえで社内を巻き込めずに頓挫するケースが往々にしてあります。
仕組化できれば強力な採用チャネルになるものの導入・定着するまではパワーがかかる。
だからこそ、本質的な意義を整理し、上層部の理解を得られるように努める必要があります。
上層部を巻き込み、制度設計をし、社員負荷を減らしながらリファラル採用を仕組化していきたい。そんな企業様は、是非MyReferにお問い合わせくださいませ。

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