働き方改革とは?目的や社内への導入方法は?メリットや問題点も解説

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目次

  • 働き方改革とは
  • 働き方改革が推進されている背景
  • 働き方改革「3つの柱」
  • 働き方改革による企業へのメリット
  • 働き方改革の施行内容と時期について
  • 働き方改革の推進で抑えておくべきポイント
  • まとめ

近年多くの企業が取り組みをはじめている「働き方改革」とはどういったものでしょうか?働き方改革の概要と3つの狙い、企業へのメリットについて解説します。
また社内における働き方改革の導入方法と手順、問題点と課題、推進する際に抑えておくべきポイントをまとめてご紹介します。

働き方改革とは

働き方改革とは、日本政府が発表した「一億総活躍社会」実現に向けて労働環境を見直す取り組みのことを指し、「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」の3つを軸とした取り組みのことを言います。
また一般的には、日本の労働者が自身のワークライフバランスに合わせた働き方ができる社会を実現する取り組みのことだと解釈されています。

日本の社会では、正規労働者と非正規労働者の待遇差や長時間労働など、さまざまな問題が起きています。これに加え、少子高齢化で働き手が今後減少することが予測されており、高齢者も含めて幅広い人々が働くことができ、生産性を向上させる環境整備が必要になってきています。そのため国が中心となって大企業から中小企業まで働き方改革に向けた取り組みが進められているのです。

働き方改革が推進されている背景

労働人口の減少

働き方改革推進の背景1つ目は、労働人口の減少があげられます。
日本の総人口は、今後、長期の人口減少過程に入り、2026年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、2048年には1億人を割って9,913万人となり、2060年には8,674万人になると推計されています。

出典:内閣府 第1章 第1節 1 (2)将来推計人口でみる50年後の日本
図1-1-3 年齢区分別将来人口推計データより作成
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/zenbun/s1_1_1_02.html

このような労働人口の減少による国全体の生産力低下予想を背景に、内閣が「働き方改革」による改善に着手し始めました。

出生率の低下

働き方改革推進の背景2つ目は、出生率の低下です。
第2次ベビーブームがあった1970年代には2.1台であった合計特殊出生率は、2005年には過去最低となる1.26を記録しました。近年はやや増えつつありますが、2015年から2018年は3年連続で下落しています。

出典:厚生労働省 令和二年版厚生労働白書―令和時代の社会保障と働き方を考えるー
図表1-1-7 バックデータより作成
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-01-07.html

出生率の低下は上記の「労働人口の減少」に紐づいており、生産年齢人口(15~64歳)が減少している大きな要因だとされています。

労働生産性の低さ

働き方改革推進の背景3つ目は、日本人の労働生産性の低さです。
先進37カ国で構成されるOECD(経済協力開発機構)加盟諸国の2019年の国民1人当たりGDPでは、北欧の国々とアメリカが上位に並んでおり、対して、日本の国民1人当たりGDPは、43,279ドル(439万円)で37カ国中21位であり、これは米国の2/3程度に留まります。

また、OECD平均(46,691ドル/474万円)と比較すると、日本の国民1人当たりGDPは1990年から2007年までOECD平均を上回っていたが、2010年代後半を通してOECD平均の9割程度の水準になっており、2019年には大きく平均を下回っています。

第1位:ルクセンブルク(120,980ドル/1,228万円)
第2位:アイルランド(88,496ドル/898万円)
第3位:スイス(70,986ドル/720万円)
第4位:ノルウェー(66,831ドル/678万円)
第5位:米国(65,143ドル/661万円)

OECD平均:(46,691ドル/474万円)

第21位:日本:43,279ドル(439万円)

出典:公益財団法人日本生産性本部 ⅠOECD諸国の労働生産性の国際比較
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/report_2020.pdf

G7:主要先進7か国(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・日本・カナダ・イタリア)では1970年以降最下位となっており、生産性の低さは長年の課題になっています。

働き方改革「3つの柱」

働き方改革ではどのような対策を行っているのでしょうか?
現在、以下の3つの柱を中心にさまざまな制度が施行されており、少ない労働人口の中で生産性向上を図っています。

①労働時間の是正

労働時間の是正とは、主に長時間労働に対するものであり、過剰労働による突然死や生産性低下を防止するものになります。
日本人は働きすぎだとよく言われますが、日本人男性の週49時間以上働く人の割合は27%。スウェーデンでは10%、ドイツは13%、イタリアは15%など、諸外国と比べると長時間労働している人の割合が高いことがわかります。

参照:内閣府 人口減少時代における働き方を巡る課題
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2019/0207nk/n19_2_1.html

さらに日本は休暇を取得する人が少ないことも問題視されており、フレックス制度や裁量労働制、短時間勤務などを導入し、労働時間を改善することが求められています。

このような是正施策は労働時間適正化への第一歩です。働きすぎを防止し、プライベートと仕事との調和(ワークライフバランス)を図ることで生産性アップや突然死のリスク回避をすることができるでしょう。

②正規・非正規間の格差解消

正規・非正規間の格差解消は、賃金の低さを要因とした離職を防ぎ、優秀な非正規社員に活躍の機会を与えるものになります。
人材不足解消や、優秀な人材がキャリアアップすることによる生産性の向上を期待することができます。

正規雇用者(正社員)は基本給のほか、ボーナスや交通費支給などが支給されるなど、待遇面が整備されているのが一般的ですが、派遣社員、契約社員、パートなどの非正規雇用者には、十分な待遇や福利厚生が整えられていないケースが多くあり、そのような正規・非正規の待遇や賃金の格差を解消することが求められています。

厚生労働省は「同一労働同一賃金」を導入し、正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)間の不合理な待遇差の解消を目指しています。

③多様な働き方の実現

労働力が不足する中、できるだけ多くの働き手を確保するためには、育児中の方や高齢者などさまざま方にとって働きやすい環境を整備する必要があります。
そのため、リモートワークや短時間勤務、高度プロフェッショナル制度(採用労働制)を取り入れるなど、働き方にさまざまな選択肢を用意することで、離職を防ぎ人材不足解消を目指しています。

働き方改革による企業へのメリット

生産性の向上

労働時間の是正により長時間労働が改善され、従業員は仕事と私生活のバランス(ワークライフバランス)が取れた生活が可能になります。
家族や友だちと過ごす余暇の時間を確保することで、従業員の心身がより健康的な状態になることで、生産性の向上や突然死のリスク回避をすることができるでしょう。

ワークライフバランスの定義とは?重要性やメリット、取り組みの一例を紹介

企業に対する評価が高まる

働き方改革を行っている企業は社会的な評価が高く、一般社会へ良いイメージをもたらすことができます。
取引先や自社の従業員、求職者などに対して良いイメージを与えることで、採用においては、新しい母集団の形成や歩留まり率の改善が期待できるでしょう。また、従業員からは労働時間の改善を行う自社に対して従業員満足度や愛着心(エンゲージメント)が高くなり、モチベーション向上や離職防止が期待できるでしょう。

働き方改革の施行内容と時期について

2015年4月に「働き方改革関連法」の法案がはじめて国会に提出され、それから2018年6月29日に可決、同年7月6日に交付、2019年4月に施行されました。
では実際にどのようなものが施行されたのでしょうか?

フレックスタイム制の拡充(法第32条の3)

労働基準法の改正により、「フレックスタイム制の拡充」が定められました。
フレックスタイム制の清算期間の上限が1カ月から3カ月に延長され、これにより3カ月という期間の総労働時間の中で、柔軟に労働時間の調整ができるようになりました。
また、下記のように清算期間が1カ月を超える場合でも、繁忙月に偏った労働時間とすることができなくなりました。

☑清算期間全体の労働時間:週平均40時間以内
☑1カ月ごとの労働時間:週平均50時間以内

参考:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf

時間外労働の上限規制(法第36条、法第139~142条)

大企業は2019年4月1日から、中小企業は2020年4月1日から、労働基準法の改正により時間外労働の上限規制が定められました。
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできなくなりました。
また、臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできなくなりました。

☑年720時間以内
☑複数月平均80時間以内(2か月~6か月平均の全て)
☑月100時間未満

参考:働き方改革関連法のあらまし(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000611834.pdf

年5日の年次有給休暇の確実な取得(法第39条)

10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、毎年5日以上有給取得させることが義務となりました。

ただし、労働者が自ら請求して有給を取得した場合、又は労使協定で定めた計画年休によって有給を取得した場合は、その取得分の日数はこの「5日」から除かれることになります(同法39条8項)。

【ポイントまとめ】
・年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象(管理監督者や有期雇用労働者を含む)に年5日の時季指定義務
・時季指定にあたり、従業員への意見聴取義務
・就業規則の規定義務
・年次有給休暇管理簿の作成と3年間の保存義務

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf

高度プロフェッショナル制度の創設(法第41条の2)

高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識などを有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者について、働いた時間ではなく成果で賃金を評価する制度のことです。

【ポイントまとめ】
・時間ではなく成果で評価する
・年収1,075万円以上、仕事内容の範囲が明確で専門的かつ高度な能力を持っている労働者が対象
・対象者は時間外勤務や休日勤務などの割増賃金の支払義務が適用されない

参考:高度プロフェッショナル制度わかりやすい解説(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000497408.pdf

月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引上げ(法第138条)

働き方改革以前、月60時間超の残業割増賃金率は、大企業で50%以上、中小企業は25%以上でしたが、改革後、月60時間超の残業割増賃金率は、大企業・中小企業ともに50%以上となりました。

【ポイントまとめ】
・深夜(22:00~5:00)の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は、深夜割増賃金率25%以上+時間外割増賃金率50%以上=75%以上となる。
・1か月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日に行った法定時間外労働は含まれる。

参考:改正労働基準法のあらまし
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l.pdf

勤務時間インターバル制度の導入推進

働き方改革関連法に基づき、労働時間等設定改善法(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)が改正されたことによって、「勤務時間インターバル制度」の導入促進に関する努力義務が明文化されました。

「勤務間インターバル制度」とは、勤務終了後から一定時間以上のインターバル時間を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようとするものです。

参考:勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル(厚生労働省)
https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/pdf/00.pdf

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金とは、同じ仕事(業務)であれば正社員・非正社員問わず同一の賃金を支給するという考え方です。
正規・非正規など雇用形態によって異なっていた待遇を均一化させるために、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から適用されています。

参考:雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000816781.pdf

働き方改革の推進で抑えておくべきポイント

働き方改革を進めるうえで次のような点に注意しましょう。

働き方改革のガイドラインを遵守する

働き方改革を進めていくうえで、顕在化している課題に対応するだけでなく、未来を見据えた計画を立てておく必要があります。厚生労働省が「働き方改革」について各種ガイドラインを設けておりますので、抜け漏れがないかを随時確認していくことが重要になります。

参考:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf

各種ツールの活用

働き方改革の導入には新しい働き方に合わせた労務管理や、リモートワーク等に向けた準備が必要になり、さまざまな労力とコストがかかります。
各種導入後の負担を軽減できるように、ITツールの活用を考えましょう。

補助制度の活用

働き方改革を行うためには、ツールの導入などコストがかかります。地方自治体が用意している補助制度などを活用して、資金面での支援を受けることを検討しましょう。

参考:助成金のご案内(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/subsidy.html

まとめ


働き方改革は日本の労働人口減少・労働生産性の低さを背景に推進されてきましたが、企業にとっても優秀な社員の確保と生産性向上は長年の課題ではないでしょうか?

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